アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

【東京】中国国立バレエ団『赤いランタン』

今年のCNYの「くるみチャイニーズバージョン」で衝撃だったThe National Ballet of China(中国国立バレエ団)の初来日公演!

 

中国国立バレエ団2019年日本公演

5月10日『赤いランタン〜紅夢』 5月12日『白鳥の湖』 場所:東京文化会館

 

「くるみ」では音楽はクラシックのチャイコフスキーを使いつつ、内容は大胆に変えてオリジナリティ満載で驚きの出来だったわけだけど、今回の『赤いランタン』はオール・オリジナル、チャイナの総力を注ぎこみました、みたいな作品だった。

 

National Ballet of China『くるみ割り人形』 - アートなしには生きられない

(↑中国国立バレエ団シンガポール公演の時)

 

まず、どの場面も絵画的に美しい演出が素晴らしい!それもそのはず演出は映画監督チャン・イーモウ。1991年の映画『紅夢』の監督であり、それをベースにしたこのバレエ作品『赤いランタン』も手掛けているわけで、いわゆるクラシックバレエ的演出の枠を超えて、予想外のインパクトがある。いやー、やられた。

 

音楽も、劇中劇に京劇があったり、オケピにも中国伝統楽器が入っていたり、バレエと中国伝統芸術がみごとにミックスされてる。振りにも演出にも麻雀が登場するのも面白い。(オケは東フィルさん)

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そしてもちろん見た目も踊りも美しいダンサーの皆さん。女性ダンサーたちのあの細く長い手足と上半身のしなり。「くるみ」でも圧巻だった群舞の迫力。特に本作では兵馬俑みたいな衣装の男性群舞が恐いくらいだった。振付そのものというよりは、衣装と群舞の迫力、そして演出が際立つ作品という印象。

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「くるみ」の衣装は思わず笑っちゃうほどのチャイナっぷりでオリジナリティが沸騰していたけど、今回はよりチャイナクラシカル。チャイナドレスからのぞく脚の美しさもよかったけど、最後、第二夫人と第三夫人の生足の強さと美しさにほれぼれしてしまった。

 

今回も舞台美術や衣装のクオリティ、総合的な舞台作品としてのレベルに感嘆でした。くるみ同様に布を多用しているところも特徴的だし、”このバレエ団ならでは”がちゃんとあるのが、いいなあと。中国の小説を原作に映画『紅夢』が撮られ、それをベースにバレエ『赤いランタン』が作られ、京劇や伝統音楽が取り入れられ、中国人ダンサーたちが踊る。総合力。

 

そしてここでどうしても考えるのが、”ジャパニーズバージョン”の有無、なのだよね。くるみの時にも思ったことだけど。外国人振付家による外国人から見た日本ではなく、日本人自身が作る日本作品、がこのクオリティで作れているかどうか。

 

 

日本初上陸とは意外だったけど、多様なバレエ団、多様なバレエ作品を観られるのはいいね。