アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

自宅でアート鑑賞その8

最後に劇場に行ってから7週間以上、最後に映画館に行ってから5週間以上。オンラインで見られる作品がたくさんあってありがたい反面、自宅で観るのと、劇場や映画館で観るのでは全然違うということも実感する。

 

やはりあの空間に身を置いて、どっぷりと作品に浸かることが醍醐味だし、それでこそ作品から受け取れるものも多い。作品が好みでないことも当然ある。好みでないなら、なぜ自分はこれが好きではないのか、何が気になるのか、といったことを考えながら見るし、好きな作品なら言わずもがな。

 

自宅で観ているとそこまでの集中力が続かないし、スマホ片手に流し見することも多い。でも世の中にどんな作品があるか発見の機会としてはとてもありがたい。また劇場に足を運べるようになったら、以前よりも幅広く足を運びたい。

 

あれもこれもとめいっぱい見るのは無理だなと感じているので、ペースを落として、気になるものは見ようと思う。まだ先は長そうだし。

 

 

普段オペラはほとんど観ないのだけど、評判が良さそうだったので新国立劇場の「トゥーランドット」を見てみた。(配信終了済み)

[巣ごもりシアター]トゥーランドット | 新国立劇場 オペラ

 

オペラって本当に大掛かりで、バレエ以上にチケット代が高いのも仕方がないなと実感する。ただ、高いがゆえに生で観られる人がやっぱり限定されてしまうというのも現実。今回は”お高い”オペラを無料配信で垣間見れるという貴重な機会でもあった。事情が事情だけに複雑ではあるが。

 

トゥーランドット」は「蝶々夫人」ほどではないにせよやっぱりイラッとするストーリーなのだけど、この演出は凄い。自己中な男を美化することなく描いているので、かの有名な「誰も寝てはならぬ」までもが、うわぁ。。。っていう対象になる。演出でここまで物語を新たにすることができるんだなあ。音楽は同じなのに。そしてラストのトゥーランドットの”抵抗”の姿が、現代人である我々にはとても腑に落ちる。

 

バレエの「マノン」もそうだけど、昔と同じ解釈をなぞるだけではなく、ちゃんと現代を生きる私たちが演じそれを観るのだ、というアップデートが必要で、それができていれば古びることなく上演していけるのだと思う。逆にいうと、ただ昔と同じようにやっているだけでは賞味期限が来ると思う。

 

ハンブルクバレエ団は「ヴェニスに死す」

Hamburg Ballett John Neumeier - Video on Demand

April 23 until April 25 (4.30 pm) and from May 2 (4.30 pm) until May 4 (4.30 pm)

まだ見るチャンスあり。

そしてこれは、初めて見たのだけど好みだった!!ノイマイヤー先生の「椿姫」と根底での同じ系統を感じる。ダンサーが素晴らしい。あの作品を演じ切る力、さすが本家。アツォーニ&リアブコのカップルはこの時からすでに素晴らしい透明感と真摯な精神性が現れている…素敵…。

 

がらりと変わってロイヤルバレエ「変身」、これはもうなんというか、マニア向けかな(笑)。中劇場の密っちりした空間で観るものだ。

youtu.be

これは主演エドワード・ワトソンにしか表現できないのではないか、と思わせる。研ぎ澄まされた身体による究極の表現。たしか5月まで見られる。(未確認)

 

次はこれが楽しみかな。イングリッシュナショナルバレエ、アクラム・カーンの「Dust」4/29から。

www.ballet.org.uk

 

それと公開中のこれ。オシポワが踊る3作。4/25から7日間限定。

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スーパー歌舞伎II(セカンド)『新版 オグリ』もみた。(配信終了済み)

古典作品と違ってストーリー知らなくても流し見でもわかるので見やすい。それにしても歌舞伎の無観客上演って切なすぎる。やはりお芝居というのは観客がいてこそなんだなあ。空の客席を前にして演じる役者さんたちの気持ちはどんなかと。。

 

さらに歌舞伎、歌舞伎座三月大歌舞伎もYouTubeで配信。(配信終了済み)

松竹チャンネル、歌舞伎座「三月大歌舞伎」舞台収録映像を本日より公開|歌舞伎美人

これね、またしても首桶とか出てくる狂言で、劇場でもキツイけど自宅では無理でした。でも配信してくれるのは素晴らしいことだと思う。

 

 

さて。medici.tvの1か月無料の恩恵を受けたので駆け込みで観たものをメモ。

 

パリオペ、ローラン・プティ「ランデヴー」

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2010年収録。二コラとシアラヴォラ。プティさんのお元気な姿も感慨深い。

 

二コラとマリーアニエス・ジロの「若者と死」は何度見ても名演。

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これ当時パリで生で観てたんだよなーー。あの衝撃忘れられない。

 

パリオペ2009年、バレエ・リュス100周年プログラム。

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これ、「薔薇の精」のマチアス・エイマン、「牧神の午後」のニコラ・ルリッシュが観られるのがたまらない。

 

パリオペラ座バレエ学校300周年記念公演。

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2013年の公演なのでいまやパリオペの団員として活躍している若手の顔が見られる。そして学校の生徒の公演としては、見事に芸術的。ガルニエで、オペラ座の衣装を着て、あの舞台に立つ子供たち。その後バレエを続けている子も辞めている子もいるだろうけどきっとものすごい財産だろうね。マチュー・ガニオとリュドミラ・パリエロも出演。

 

 

ところでプライムビデオのWOWOWシネフィル+(60日無料)で「刑事モース」をシーズン1から見てるんだけど(日本にいるので見られる!日本国外からはプライム会員でも見られないからね!)、これほんといいドラマだなー、と毎話のように切なくなっている。役者さんたちがとにかく上手いのと、音楽の使い方が超好み。初期のエピソードほど切ないものがある。

 

 

関係ないけど最初からテレビで見られることを想定して制作されているドラマと、映画館で見る映画、さらには舞台芸術とで、自宅で見る時の集中力の持続に差があるのかな…。