アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Qu'est-ce qu'on a encore fait au Bon Dieu?(最高の花婿 アンコール)

続編観てきた。

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いかにもなフランスのコメディでおもしろかった。けど前作ほどではなかったかな?

アラブ系、ユダヤ系、中国系、アフリカ系の4人の娘婿、さらに難民、性的マイノリティも登場し、”新しい価値観”は今回も次々とヴェルヌイユ家に迫ってくる。

このシリーズはフランスの自虐でもあるよね。異文化への差別や驕り、古い価値観。ダメだとわかってもなかなか変われない自分たちを自覚しているからこそのコメディ。

 

多民族国家フランス、と言われるようにいろーんな人が暮らすフランス。特にパリ。だからこそアジア人の私が住んでてもそんなに違和感感じずにいられた。圧倒的多数派の中にポツンとアジア人というのではないからね。いろんな人がいる中に自分も混ざった、という感覚。

 

そんな多様な社会フランスであっても差別、偏見、ステレオタイプは存在する。けれどもあの社会ではそれを公言するのは”ナシ”という常識は”一応”共有されている。批判されて当然だし、まともな人とはみなされない。(もちろんフランスにも問題は多々ある)

 

そういう前提があってこそなりたつコメディ。観客側に「そうだそうだ!間違ってないぞ!」と本気でヴェルヌイユ夫妻を擁護する人が出るような社会ではコメディにならないのでね。

 

異文化に触れ、異文化と共存することをポジディブに受け止められる人ばかりではないけれども、異文化は間違いなく存在しているのであって、誰かがどれかを選んで否定できるものではないのよね。受け入れるか、否定し続けるか、そのどちらでいくか。長期的には後者の道はないのだよ。

 

私は日本にいてもそんなに居心地よく感じるタイプではなく、雑多な街に雑多な中の1人でいる方が心地よかったりするので、パリやシンガポールは結構好き。中国の地方都市にいた時は、圧倒的多数派の中にポツンと言葉もわからなくて辛かったけど。

 

まあこの映画自体はそんなに深刻な話ではなく笑って終わるんだけどね!

昨今の日本の状況に辟易している者としては、つい比較して考えてしまった。

 

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