アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

シネマ歌舞伎『京鹿子娘二人道成寺』

京鹿子娘二人道成寺 | 作品一覧 | シネマ歌舞伎 | 松竹

 

玉三郎菊之助による二人道成寺。上映がコロナ禍で流れてしまったかと思ったらリスケされてた。これ観たかったの!この2人の二人道成寺、当時生で観てるんだ。映像は2006年の上演。舞踊作品好き。

 

女方舞踊の最高峰「娘道成寺」の歴史に新たな一ページを加えた名舞台がスクリーンによみがえる。

歌舞伎舞踊の大曲「娘道成寺」を、二人で踊る趣向の「二人道成寺」。
本作は、二人の花子が時には一体となり、時には陰と陽のように、あるいは姉妹のように踊るという、従来の「二人道成寺」を一新させる玉三郎の演出で大きな話題となりました。
二人の花子が舞い踊るまばゆいばかりの華やかな世界に、シネマ歌舞伎ではさらに玉三郎が編集に参加し、映像ならではの工夫を加え、誰も見たことがない幻想美の世界を作り上げました。
玉三郎菊之助がいざなう美の迷宮に足を踏み入れ、こころゆくまで酔いしれてください。

youtu.be

 

で、今回初めて知ったのだけど、「シネマ歌舞伎イヤホンガイドアプリ」というのがあって、歌舞伎座で見るのと同じようにイヤホンガイドが映画館でも聴ける!すごい。

 

シネマ歌舞伎イヤホンガイドアプリ 公式Webサイト

 

アプリをダウンロードして、作品を選んで音声をダウンロードしておくと、映画館での音を拾って音声ガイドが自動再生される。すごい。今回の道成寺は初回無料で利用できた。歌舞伎のイヤホンガイドってあると理解がぐんと深まるので、一度試したらほぼ毎回借りている。まさか映画館でも利用できるようになってるとは。

 

さて本編。映像の編集には玉三郎さんも関わっているそうで(イヤホンガイドが教えてくれた)、映画館ならではの趣向も取り入れてる。

 

去年、菊之助さんの道成寺を2回観に行っているので、二人道成寺ってこんな風だったっけ、と違いが結構あることに気づいた。玉三郎さんは成駒屋の、菊之助さんは音羽屋の型を踏襲しているので、例えば烏帽子の取り方や、毬の作り方といったところに2人の振りの違いがある(とイヤホンガイドが教えてくれた)。それ以外にももちろん世代の違いもあるのだけど、違うところがありつつも同調する舞の美。

 

前回劇場で菊之助さんの娘道成寺を観た時に、菊之助さんの”ドライ”な表現が現代的で好みだと思ったのだが、では世代が上の玉三郎さんの花子はどうかというと、全然じめっとしてないんだよね。手ぬぐいのところはさすがにしっとりとはしているけども。(何度見てもあそこが一番の見どころと言われるのには納得がいかない)

イヤホンガイドなしで純粋に踊りとしてだけ見ている分にはさほど気にならないけど、詳細に振付意図や”娘の気持ち”を解説されると、「あなたの女房になれますように」的な作品表現はちょっと、ねえ。まあそれは言っても仕方がない。

 

各踊りの踊り分け、衣装の変化、1時間以上踊り続ける技量と体力。見どころ満載だよね娘道成寺。やはり最後の鈴太鼓の、豹変していくところにゾクゾクした。玉三郎さんの目の演技がさすがで、視線ひとつでぞわーっとさせる。そして最後の鐘の上も、2人いるがゆえに絡みつく”蛇感”が増してた。狂気2倍。白地に墨絵の着物の柄は蛇の鱗に見立ててるんだって。へえー。

 

去年観た時。

【東京】歌舞伎座團菊祭≪京鹿子娘道成寺≫ - アートなしには生きられない

 

東劇での上映が8/6まで延長されたそうなのでまだ見るチャンスあり。

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