アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Noism共演 サラダ音楽祭メインコンサート

来日公演はもちろん国内の団体による様々な公演も数に限りがある中で、東京でNoism Company Niigataを観ることができる貴重な機会。

 

音楽祭メインコンサート | [サラダ音楽祭]TOKYO MET SaLaD MUSIC FESTIVAL 2020

 

指揮/大野和士
ソプラノ/臼木あい*
ピアノ/江口 玲**
ヴァイオリン/矢部達哉***
管弦楽東京都交響楽団

 

モーツァルト:モテット《踊れ、喜べ、幸いなる魂よ》 K.165(158a)*
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調より第2楽章 [ダンス付き]**
ペルト:フラトレス~ヴァイオリン、弦楽と打楽器のための [ダンス付き]***
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ミヨー:バレエ音楽《屋根の上の牡牛》 op.58

 

この約半年、自宅でスピーカーを通して聞く音に慣れてしまってて、久しぶりに劇場で聴いた生のオーケストラの音に、ああーそうだこういうものだったーー、と全身に染み渡らせるような気分だった。当たり前だけど、やはり全然違うのだ。

 

一番期待してたペルト、フラトレス。これは昨年から今年にかけて観てきたNoism『Fratres Ⅰ』『Fratres Ⅱ』に連なるもので、あの音楽を生オケで踊るのか!!とわくわくしていた。

 

同じ高さの舞台上にダンサーとオーケストラが共存する。(オーケストラピットではなく。)これがとてもよかった。ダンサーと音楽家たちの距離が近く、演奏の姿も作品の一部になる。それを特に感じたのがフラトレスの冒頭のヴァイオリンソロ。ソロコンサートマスターの矢部さん。

 

あの激しい旋律を弾く矢部さんの姿が見えるというのがとてもよくて、舞う金森さんとの共鳴が凄い。最初はもちろんNoismファンとして舞台に出てきた金森さんをじっと見ていたのだけど、演奏する矢部さんが視界に入ったらどちらからも目が離せない!!生演奏で踊ることによって音楽の視覚化という側面も加わり、これまでの『Fratres』がさらに重層化したように感じた。生オーケストラの力、すごい。

 

そして、アートというのは世の中を反映しているので、今のこの特殊な状況の中で『Fratres』を観ると”祈り”をより強く感じるし、一緒に祈っているような気持ちにもなる。通常にも増して様々な困難がある中で上演できたことへの金森さん、Noismの感謝の思いもあるだろうし、独特の緊張感もある。そして生オケ。同じものは二度とない。

 

ライヴパフォーマンスとはなんと儚いものか、と同時に、その場を共有できるということの貴重さ、尊さ、みたいなのをあらためて考えさせられた久しぶりの劇場。

 

コロナ禍がいつまで続くかわからず厳しいけど、文化芸術が身近になくなったら困るんだよーーー!!

 

やりたいことはできる時にやっておこう、足を運べるなら運んでおこう。「次でいっか」はナシで。

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