アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

国立劇場 初春歌舞伎『四天王御江戸鏑』

国立劇場 通し狂言 四天王御江戸鏑 (してんのうおえどのかぶらや)

毎年お馴染みの菊五郎さん一座による初春歌舞伎。初日おめでとうございます。

 

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初日とはいえいつものような賑やかさとはいかないコロナ禍。今年は少しでも早く平常に向かいますように。

 

時事ネタをぶちこんで笑いを誘うのが恒例の菊五郎さんの初春、今年はソーシャルディスタンス、アマビエ、手指消毒、ながーい柄のついたのでお酌をしたりとコロナ禍さえも笑ってしまおうという期待通りのやつ(笑)。菊五郎さんってほんと楽しいのが好きなんだろうな。お得意のオヤジギャクも性格が出てる感じするしね。なんとも言えない"間"であったり言い回しであったり、やはり経験と人柄だろうか。

 

時事ネタで笑う意外にも見どころはもちろんあって、私が個人的に好きな「○○実は△△」みたいなやつ、今回のもそれ。「女郎花咲 実ハ 土蜘蛛の精」を演じる菊之助。すっぽんから登場した時の怪しい美しさ、あれはろうそくの明かりの怪しさといい、とてもよかった。

初春だから楽しいやつに間違いないとわかってるし、肩ひじ張らず、予習も要らず、ほんと気軽な気持ちで観に行けるのがいい。

もちろんこんなご時世なのでコロナ対策を忘れるわけにはいかないのが辛いところだけど。

 

やっぱり歌舞伎って、その時の世の中を反映してこそこれから先も長く残っていく可能性がある、と思うよね。そしてちょうど1月2日、3日にBSで放送されたナウシカ歌舞伎のように、歌舞伎というのは新しいものを取り込んで、完全な新作であってもこれは完全に歌舞伎だ!と思わせられるだけの積み重ねがある。

古典の手法を使って現代的な感覚を描くこともできるはずなので、菊之助さん世代の役者さんたちには期待している。

 

それもこれも早く世の中が平常に戻ってくれないとね。個人レベルでは日常の地道な対策くらいしかできることがないのがもどかしいけど、こんな中でも上演し続けているエンタメ業界を微力ながら応援したい。

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