アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座バレエ団 Gala d’ouverture 2021

1月27日に無観客で収録されたパリオペラ座バレエ団のガラ。もう観られる!(1/30の20時からという話はなんだったんだ(笑))

 

chezsoi.operadeparis.fr

 

Programme :
Défilé du Ballet
Grand pas classique
In the night
The vertiginous thrill of exactitude

 

ネフ総裁とオレリーの挨拶に続いて、パパパパーンと鳴った瞬間にぶわっと感動が沸騰してしまった。愛しのパリオペ。バレエ学校生徒からエトワールまでが勢ぞろいするデフィレ。ただ歩いてくるだけなのになぜ泣いてしまうのか。

そして今回は全員マスク着用。びっくりしたけど、でもこれはオペラ座の意志表明だよなあ。我々はコロナ禍にあっても、マスク着用でも、舞台に立ちます、と。そのための努力を続けますと。私はそう受け取った。

エトワールになったばかりのポール・マルクにとってはエトワールとして初めてのデフィレが無観客avecマスクということで、なんとも特別なものに…。

 

ヴァランティーヌ・コラサントとユーゴ・マルシャンの「グラン・パ・クラシック」は衣装がシャネル。ステキ。テクニックをこれみよがしにしないパリオペの優雅さ、さすがだ。すげーっと言わせるのではなく、ゴージャスでうっとりさせるグランパクラシック。(いやもちろんすごいんだけどそこをわざわざ売りにしない)ヴァランティーヌにぴったり。衣装もライティングもカメラワークも良かった。

 

エトワール6人によるロビンス「イン・ザ・ナイト」、これがまた。こんなにも切なく美しい作品だったかと、あらたに発見したかのような。1組めのマチュー・ガニオとリュドミラ・パリエロには出てきた最初からもう世界があって、さすがだ。この、何かを大げさにやらずとも語れる存在感。若い頃のマチューにはさほど揺さぶられなかったけど、昨今は見るたびに、あらためて素晴らしい存在だと思い知る気持ち。繊細さと真摯な人間性が踊りに溢れてる。2組目のレオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェはシンガポール公演でも同じのを踊ってるを見たのに、2人ともすっかり大人になり、以前の若さゆえのキラキラではなく人間的な成熟を感じた。素晴らしいな。3組目はアリス・ルナヴァンとステファン・ビュヨンという文字通りの大人ペアで、積み上げてきたベテランエトワールの語る力。ステファン引退近いよね。来シーズンあたりか。

追記:実際はアリスの方が先にアデューで22年7月の予定(ジゼル)らしい。

 

この作品、最後に3ペアが交錯するところがとても好き。久山さんの弾くショパンもとても素敵だったー。ダンサーとピアノの一体感。

 

フォーサイスの「精密の不安定なスリル」はエネルギッシュで元気出る。最初、ポールとパブロというパリオペの若きスター(パブロはまだプルミエだけど)が並んでてそれだけでいいわあってなってしまう。パブロはシンガポール公演でのBlake Worksでも目立っていて、本人の陽のオーラも合ってるし、フォーサイス作品好きなんじゃないだろうか。女性ダンサーはアマンディーヌ、リュドミラ、八菜さん。この5人の持つ躍動感がいい。アマンディーヌって悲劇を演じたら物凄い女優なんだけど、コンテも好きよー。

 

このガラの数日前から、ダンサーたちのインスタなどで目にするたびドキドキそわそわしていた。世界にバレエカンパニーは数あれど、私がこんなにときめいたり涙したりするのはパリオペしかないのだよなー。心の糧。マジで。大げさでなく。

 

今回この特別なガラを無料で公開してくれて、ロレックスとシャネルにはMerciiiiii !!!って気持ち。あとテタンジェも。文化芸術を大切にする土壌やそれを支持する社会があってこそ。素晴らしい。

 

いっぱい見よう。