アートなしには生きられない

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コメディ・フランセーズ in シネマ『シラノ・ド・ベルジュラック』

コメディ・フランセーズの舞台を映画館で。初めて観たよ。

 

コメディ・フランセーズ in シネマ/シラノ・ド・ベルジュラック | ル・シネマ | Bunkamura

 

シラノ・ド・ベルジュラック、映画化などもありおぼろげな記憶とイメージのみで観に行ったけど、なんというクオリティ!!

5幕もので、衣装はラクロワ。もちろんフランス語での上演で、言語の持つ響き、豊かさが圧巻。韻文を散りばめたセリフのなんと耳心地のいいこと。別に高尚な舞台のように扱う必要はないけど、観る側にも文化を受容する力や教養の前提があってそうすると存分に楽しめるんだろうなという印象を受けた。でも初見でも十分堪能できた。

 

いやあ、すごいな、文化の蓄積とそれを形にする力。

 

こちら、コメディ・フランセーズのサイトでの≪CYRANO DE BERGERAC≫作品紹介。16/17シーズン、プログラムなどもダウンロードできる。

www.comedie-francaise.fr

 

舞台裏の紹介映像でスタッフの一人が「8歳でもすべて理解できるように、8歳でシラノ・ド・ベルジュラックを見てコメディ・フランセーズのファンになるような作品にしようと作った」というようなことを語っていた。(発言内容はおよその記憶)

 

8歳でも、かあ。子供も対象だとしても全く容赦してないし、あのクオリティの演劇を子供の目でみたらどんなことを思うのか。俳優になりたいと思う子もいるだろうな。

 

パリにいた時、あるフランス人の友達が一緒にコメディ・フランセーズ行こうかと言ったことがあったんだけど、別のフランス人の友達が私にはきっと難しいよ(フランス語的に)と言い、私としては、(行ってみたい気もするけどきっとわからないだろうな…)という言語の壁にびびって行かなかったんだよね。

今日、字幕ありで見て思ったけど、もし劇場で字幕なしに見たらきっと半分も理解できなかったと思う。8歳のフランス語力に負けるので(笑)。日本語字幕ありで観られてよかった。

 

ちなみに、外国語の能力が足りなくても大人は知識や経験で補えることが多々あるので、最初から気後れしすぎずに挑んでいいと今は思ってる。予測機能が鍛えられてるからね、ほんとに。

 

1幕前半はまだお芝居の世界に慣れてなくて入り込めなかったけど、どんどんよくなった。最後は泣いた。

人は誰でも複雑な面を持っていて、いろんな思いを抱えていて、人を思いやり、愛し、邪険にし、憎み憎まれ、苦しみ、みんないつか死ぬ。シラノの愛、ロクサーヌの愛、ああもう、”本当の愛”とはなんだ??みたいな、哲学的な問いが湧いてくる。古典だけに、普遍的なのだ。

 

ところでフランスのコメディ・フランセーズの舞台が収録され日本の映画館で上映されているということは、日本の国立劇場の舞台がフランスの映画館で観られる、みたいな、例えるならそんな感じだと思うのだけど、そちらはなかなか実現が想像しにくいなあと思ってしまうのは偏見かしら。かつて團十郎さんがガルニエで歌舞伎公演をやったこともあったけど、映画館で歌舞伎や文楽などを見られたら、観たい人どれくらいいるかな。

まあ、私が見た回は10人以下だったので、日本でコメディ・フランセーズ観る層というのもかなり限られてるとは思うが…。

 

過去のでいいので、コメディ・フランセーズの超有名作品また映画館で観たいな。

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