アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座、新エトワール誕生

セウン・パク、オペラ座のエトワールに!!!

  

www.operadeparis.fr

 

これは凄いことですよ。歴史を作った。韓国出身のアジア人がバレエ界の最高峰の1つパリ・オペラ座のエトワールになった。時代は動いてる。

 

youtu.be

 

白人が圧倒的多数で構成されるバレエ界・オペラ座の多様性の欠如が指摘されるようになり、配役にも多様なルーツを持つダンサーを意識的に配置するようになってきたように見えるパリオペ。

そういう流れの中で、圧倒的な説得力を持ってパクさんがエトワールに任命されたことは、いつ任命されてもおかしくないと言われていただけに、ついに!やっとここまできた!という感じがする。

 

例えば10年前にアジア人エトワールがパリオペに誕生するなんて想像できたかっていうと、そもそも入団が狭き門で、例外的に入団できてもコンクールで階級を昇り主役を踊るところまでいくのは相当な難関。ましてやエトワールなんて夢のまた夢、みたいな。日本人では藤井さんが正団員として長く所属していてそろそろ引退が近い年齢かと思うのだけど、時代が時代だったら昇進していたかもしれないよね。私がパリにいた頃、ヨンゴル・キムがスジェにいたんだけどその後退団し、コールドからソリストに上がるにはなんらかの壁を感じたりしてたのかなあと勝手に思っていた。 

 

youtu.be

 

私がパクさんをコールドの中で初めて見た時にはちょっと目立ってしまっていて、浮いて見えたのを覚えてる。オペラ座バレエ学校出身ではなく外部から入ったダンサーはみんなそうだろうけど、フレンチスタイルを習得するのが大変なのだろうし、悪目立ちしてしまう。またアジア人の骨格はいわゆる”パリオペ標準”的なものからは外れるし、違った美しさを持っているとはいえ溶け込むのは大変だよね。

 

しかしそういう背景がありつつも、外部から入り、昇進を重ね、エトワールに。偉業だわー。オペラ座もパクさんをエトワールにしない理由を説明できないっていうところまできてた感じするもんね。時代の後押しもあったと思うけど、まずは実力あってのこと。だってバールの『La Source』やヌレエフ『白鳥の湖』、クランコ『オネーギン』などですでに主役を踊ってるんだもんね。

 

1989年生まれなので今年32歳。ダンサーとして充実の時ですね。全幕主役でぜひ見たい。

Sae Eun Park - Opéra national de Paris

 

現エトワールの中ではリュドミラ・パリエロが南米出身ダンサーとして初めて2012年にエトワールに任命されている。

 

ところでこうやって新エトワールが誕生する時ってよく予定外の出来事が絡んでいることがある気がする。今回の『ロメオとジュリエット』の初日は予定ではジェルマンとレオノールのペアだったけど、ジェルマンの怪我により、ポール・マルクとセウン・パクのペアが初日を飾ることになった。

約1年半ぶりの観客の前での公演、ポール・マルクはエトワールになって初めて観客の前で踊り、そして新エトワールが任命された。

 

ジェルマンの怪我が酷くないことを祈る。そしてジェルマンの代わりにレオノールと踊ることになったのがなんとカドリーユのギヨーム・ディオップ!これはびっくりした。まだカドリーユのギヨームがエトワールのレオノールと組み、ロメオデビューをする。これまた大変な重責だろうけど、カドリーユとはいえ才能ぞろいのパリオペだから、きっと新たなロメオを見せてくれるんだろう。レポート楽しみだな。

https://instagram.com/guillaumediop?utm_medium=copy_link

 

というか、オンラインで配信してほしい!新エトワールのジュリエット見たい!

課金しまくるからお願いします!