アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Les Olympiades(パリ13区)

longride.jp

 

ジャック・オディアール監督が??というストーリーだったのだけど、脚本にセリーヌ・シアマがいると知ってなるほどとなった。

 

原題≪Les Olympiades≫はパリ13区の再開発エリアに建てられた郊外型の大規模高層住宅。パリの13区というと私にとってはプラス・ディタリー、タン・フレール。中華街があって、住んでた頃からアジア系住人が多いエリアだった。

そして本作の中で13区を見ると、私が知ってる頃よりもアジア系移民の現地化というかフランス化というか(これはまた微妙な議論になりがちな話題ではあるのだが)が深化しているのだなあと感じる。これは前回、前々回のパリ滞在あたりから感じたことだけど、移民の家族がフランスに定着し、フランス人として学校に通い就職する、それが進んだ結果として街中で感じる多様性が進んだ、深まった、という感じ。

 

主な登場人物である女性3人、エミリー、ノラ、アンバー・スウィート、そして男性のカミーユ。この4人が繋がったり離れたり、また出会ったり深まったり。

しかしダントツにノラとアンバーの関係が気になった。あの繋がり方。

 

人って、みんな実はとても危ういバランスの上に生きているんだよね。傷や後悔のない人なんかいない。

 

見終えた直後はどう受け止めたらいいか整理がつかなかった。まだ徐々に解釈している段階って感じなので、また思うことがあったら追記しようと思う。

 

あと、男性監督が撮るセックス場面に対して、観る側として「大丈夫か?」という気持ちで臨んでしまうところがあって(過去にあった問題についていろんな報道があるからね)、しかしフランスの女性俳優たちというのは若くても根っからの俳優という貫禄さえ感じる。強い。あの雰囲気が身につく土壌というのがあるんだよなあ。

ノエミ・メルラン、『燃ゆる女の肖像』に続きとてもよかった。

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