まず彼らの音楽性と演奏技術の高さがあって、それに加えてあのキャラ設定の見事さ。Angine de Poitrine の Khn de Poitrine(ギター&ベース)と Klek de Poitrine(ドラム)は異星人で、時空の旅人で、333歳で、地球語は話せず、ライヴでは宇宙語とジェスチャーでコミュニケーションを取っている。白黒の水玉、金色でピカピカ光る三角形、長い鼻、大きい頭。ちょいちょい挟むコミカルな動きや宇宙語で笑わせられる。かと思うと圧巻のパフォーマンスでめちゃくちゃカッコいい。このギャップよ!!
この2人、Les Frères de Poitrine(ポワトリーヌ兄弟)はケベック出身で、Khn13歳、Klek14歳の時からもう20年超も一緒にプレイしているのだそうだ。なるほど、地球語必要ないね(笑)
たまに、もしこの2人が生身の人間の姿だったらどうだっただろう?と考える。
実際には、もちろん彼らも生身の人間なのだが、この匿名性と異星人という設定のおかげで彼らには新たな自由がある。きっと地元では、彼らがKhnとKlekだ、とある程度わかっているのだろうけども(決して大都市ではないようなので)、友達に聞かれても否定しているそうだし、リアルな人間としての生活を切り離して、Les Frères de Poitrineであることを楽しんでいるように見える。そしてそれが彼らのライヴパフォーマンスでの独特の楽しさを生んでいる。
彼らにとって地元ケベックの音楽産業に貢献することは活動する上で重視していることのようで、どこと契約するか、誰と仕事をするか、といった決断に影響している模様。カナダ国内もしくは北米におけるケベックの歴史や立ち位置、多数派である英語に対する少数派としての仏語、といった”マイノリティであること”が、ケベックの文化そして2人の姿勢に与える影響というのは小さくないのではないか。マジョリティの無自覚な傲慢さといったことに反発を感じる私としては、Angine de Poitrineの姿勢からケベコワの気配を感じとって(その解釈が正しいかどうかはわからんが)、彼らにより共感している気がする。