日本でも夏のガラ祭りの時期となり、さまざまなガラが多数開催。
私はパリオペラ座に絞って、ソウル遠征と、東京ではバレエ・スプリームBC予定。
ソウルのエトワールガラ、豪華だった。豪華なメンバーだからこそ行くことにしたのだけど、それにしても、オペラ座初のアジア人エトワールであるパク・セウンが座長となり、エトワール10人とプルミエ1人を揃え、上演する作品もオペラ座らしさが盛り込まれてて、素晴らしいなー!!という感想しかない。
【エトワール】
パク・セウン
アマンディーヌ・アルビソン
レオノール・ボラック
ハナ・オニール
ブルエン・バティストーニ
マチュー・ガニオ(Aプロのみ)
ジェルマン・ルーヴェ
ポール・マルク
マルク・モロー
ギヨーム・ディオップ
【プルミエ】
フローラン・メラック
Aプロ(7/30,7/31)はパリオペのピアニスト久山さんも大活躍。やはり生演奏はいいね。韓国人チェリストとも共演あり。
Aプロは特に、容赦なくパリオペらしさを並べてくるプログラミング(笑)
まさか≪Le Chant du compagnon errant≫(さすらう若者の歌)でガラ公演が始まるとは思わないじゃないですか!(ジェルマンとマルクモロー)
ジェルマン、とてもコンディションが良さそうに見えて、こういったガラ公演でも充実のパフォーマンスだった。そしてマルク・モローへの信頼度は見る度に上がるのであった。そして2人とも東京には来ない。
極上の≪In the Night≫、なんと美しい。パクさんとポールマルク、レオノールとマチュー、アマンディーヌとフローランという組み合わせ。アデュー公演後のマチューの生の踊りを観るために来たと言ってもいいくらいだったので、このIn the Nightは至福の時だった。変わらず美しく優しくエレガントなマチュー。そしてそのマチューと踊る喜びに溢れたレオノール。
このガラに参加しているエトワールたちはみんなマチューとの”最後の時”をきっと貴重に思ってるだろうな、などと勝手に考えてしまった。だって、マチューですよ。その踊りや立ち振る舞いを見て学び、共有する、残り少ない場。
本当に素敵なIn the Nightだった。生ピアノも素敵。
休憩をはさんで、怒涛のしっとり演目が並ぶ。
≪Trois Prélude≫をブルエンとフローラン、これもよかった。ブルエンの強さ、好きだ。フローランは安心できるパートナーという感じ。東京での『PLAY』からソウルに飛んでの出演、タフである。
ウヴェ・ショルツの≪Sonata≫、美しい作品だよねえ。マチューとレオノール。しみじみ。その美しさを心に沁みこませるように。
マクミランの≪Concerto≫をアマンディーヌとマルクモロー。この2人は恐らく同世代だと思うのだけど、大人のペアの魅力って感じでよかった。
ハナとジェルマンの≪Sonatine≫はどこかでも見ているはずで、毎度ジェルマンの美しさを堪能して終わる。それ以上の何かがこのペアから生まれる日は来るのか。
そして唐突にエスメラルダ(ブルエンとポールマルク)を挟み、トリはパクさんとギヨーム・ディオップでくるみ割り人形へ。
エスメラルダは、女性ソロのヴァリエーションがよくローザンヌ出場者に踊られていて、韓国人女子に人気な気がするので、こういうのも一応入れておきますか的なやつなのかなーなんて思っちゃった。だってオペラ座のレパートリーでもないしね。あ、割愛しちゃったけど前半2つめに眠りのGPDD(ハナ/ギヨーム)もあった。こちらは一応ヌレエフ版なのでね。(でも出来については割愛)
では続いてBプロ(8/1)。Aに比べるとちょっと物足りなさも。やっぱマチューの抜けた穴はデカいのかなってのと、Bは生演奏なし。
まずはハナとポールマルクでグランパクラシック。ハナさんにハプニングあり、ケガしていないかと心配したけど大丈夫そうだった。やはりエトワールは心身共にタフである。
マクレガーの≪Chroma≫をレオノールとディオップくん。ディオップくん、東京でのスプリームは降板が発表されていて、でもソウルには行くのね?とフクザツな気持ちもあったんだけど、踊っているのを見たら疲れているのは間違いなさそうで、確かに休みが必要ね、となった。Chromaのソロなどは魅力あるとこ見せてくれたけど、やはりまずは、コンディション大事。
ブルエンとマルクモローの白鳥二幕良かった!現在最も若い女性エトワールであるブルエンが踊る現代の白鳥、興味深い。これくらい硬質で強そうなオデット、好きです(笑)マルクモローはああ見えてとても情熱的。ああ見えてって言い方おかしいけど。ふたりの気持ちのやりとりが伝わった。
≪Proust≫のPDDってどんなのだろうとプログラム見た段階ではわからなかったんだけど、幕が開いたら思い出した。白いカーテンが天井から下がってるやつ(伝われ)。かつての東京でのエトワールガラでは上演してた気がする。最近オペラ座で全幕上演してないはずだけど、アマンディーヌとフローラン、よかった。
最近レパートリー入りしたばかりのルグリ版シルヴィアのPDDをパクさんとジェルマン。これといって魅力的なPDDとも思えないのだけど、ジェルマンのアミンタのソロがあまりにも可愛いかったのでよしとする(笑)
Bプロ後半は全員が姫と王子で登場する眠りの抜粋バージョン!
正直、疲れているダンサーも多く、負荷分散しつつそれなりの長さを持たせるための工夫、とも思えたのだけど、出てくる人みんな王子みんなプリンセスってちょっと笑っちゃう感じで、誰がどのソロを踊るかとかどうやって決めたのかな~なんて妄想しつつ楽しんだ。マルクモローの踊ったあの長いソロ、やはり彼の秘めた情熱みたいなものが伝わる踊りで好感。GPDDはパクさんとポールマルクで、全体的に疲れの見えていたポールマルクも最後はがんばってまとめてた。全員そろっての踊りは華やかそのもの。
公演プログラムを買ったところ、ソウルのあと8月3日にテジョンでももう1公演あることを知り、東京でのスプリームにも出演するダンサーは翌日移動して8月5日にBプロ初日って、あまりにも無茶なスケジュールでは!??と心配半分、憤りにも似た複雑な気持ち半分。どちらが先に決まってたとかそういった事情はわからないけどさ、しわ寄せは後ろにくるだろうし、それを見る我々はどのような心構えでいればいいのやら。
韓国のメンバーからは、パクさん、ハナさん、ブルエン、ポールマルクが東京でのバレエ・スプリームに出演。猛暑の中、過酷なスケジュール、どうか最後までご無事で。
ソウルは若い観客が多い印象で、来年もガラやる予定がすでに決まっていて、勢いあるなーと思った。パクさんの存在はもちろん大きいし。
近年日本の招聘ガラがイマイチ魅力を失っているのは、企画力の問題なのか、招聘力の問題なのか、経済力の問題なのか。
またそれかよ、とならない作品選びとか、まだ日本では観る機会の少ない若手スターを呼ぶ人脈とか、いろいろな要素が必要なのだよね。
新しい世代のエトワールたちは単なる興行にはあまり興味がなく、より社会的意義とか、社会貢献の要素とか、そういったプラスαを求めている気がする。そういった活動をしているダンサーも増えている印象。
なので、あえて日本に呼びたいのなら、中身のある、意味のある、ダンサーに意義を感じてもらえるような何かを提案できるか、みたいなことが必要なんじゃないかなー。
勝手なこと言って申し訳ないけど。
そして、つい先日の東京での『PLAY』と、このガラとで、同じカンパニーとは思えないほどの中身の違いで、それはいいことでもあり、一方で最近のコンテ作品(創作)ではエトワールが配役されるようなものが少なく、エトワールが踊るものとそれ以外、というのがくっきり分かれているように感じる。
エトワールらソリストでなくても、集団としてのパリ・オペラ座のパワーやレベルを感じられる最近の集団的新作は確かに圧倒されるし魅力もあるのだけど、エトワールらにとっては機会が減っているのかもしれない。
ファンとしてはいろんな作品、いろんな魅力が観たいけどね。
そうだ、あと、今回のようなほぼエトワール(+プルミエ1名)で構成されるチームというのは豪華で贅沢ではあるのだけど、次世代の若手を同伴して顔見世&経験と学びの場となる機会というのもまた、必要だしそれも見たいとも思った。ペッシュ座長のエトワール・ガラでは当時スジェだったジェルマンとユーゴを連れてきてたよね。そういうやつ。
そういう意味では、今回のスプリームでエトワールが降板した代わりにロレンツォ・レッリとミロ・アヴェックが入ったのは貴重?(超前向き解釈)でもマチアスを全面に出して発売しておいて、というのは不誠実。そこは変わらん。
今回でソウルを訪れたのは二度目。また行くかもね!?


