アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

2023-01-01から1年間の記事一覧

Vous n'aurez pas ma haine(ぼくは君たちを憎まないことにした)

パリであのテロがあったときの衝撃が自分の中で薄れていることに気づいた。 しかしあの最中にいた人たちにとっては、そう簡単には薄れたりしないだろう…。 nikiumanai.com 妻をバタクランで亡くしたアントワーヌ・レリスが書いた本が元になっている。妻が死…

As bestas(理想郷)

この映画、なかなかの余韻である。 unpfilm.com なぜ邦題が『理想郷』とされたのか。その実は(原題も)対極であるのに。そのギャップを狙っているんだろうか。 何をどうしたってわかりあえない、残念ながらそういう関係はある。普段自分のまわりにいる人は…

Mon crime (私がやりました)

フランソワ・オゾン監督、≪Mon crime≫は女性をメインにしたコメディタッチの作品。 gaga.ne.jp 軽妙な台詞が飛び交い、あーオゾンっぽいーという雰囲気。1930年代のフランス、パリとその周辺が舞台で、事件があったのはヌイイの豪邸。建築やインテリア、…

La Syndicaliste(私はモーリーン・カーニー)

イザベル・ユペール主演≪La Syndicaliste≫、予想とは違った意味で重い内容だった。 フランスの原子力企業アレヴァの労組書記長を長く勤め、当時アレヴァのトップだった”アトミック・アンヌ”とも親しかったモーリーン。フランスのお家芸的な原子力産業の大企…

HYPNOTIC(ドミノ)

普段あまり見ないタイプの映画見た。 gaga.ne.jp 事前情報なく見たけど結構おもしろかった。終始何がなんだかよくわからなくて、このシナリオ考えたのすごいなー。そして90分ちょっとなのもよい。話が早い。 ネタばれにならないように感想を書くのが難しい映…

東京バレエ団「かぐや姫」

ついに全幕での初演。観てきた。 www.nbs.or.jp 私は全幕ものになってから観たいと思ってたので、待ってました、「かぐや姫」全幕世界初演。土曜日のBキャストで観た。 いやー、洗練されていた。金森さんさすがである。衣装も舞台装置も好み。 日本が舞台の…

The Lost King(ロスト・キング 500年越しの運命)

元気出た。実話に基づくストーリー。 culture-pub.jp シェイクスピアの影響力というのは物凄いんだな。彼の描いたリチャード三世像が、歴史家や研究者ら専門家たちの”前提”を形作っていたといってもいいのではないか。 権威ある人々に軽んじられながらも自説…

En corps (ダンサー イン Paris)

書いてみて気づいたんだけど、邦題、"Paris" だけ"パリ"ではなくParisなんだね。どういう意図なんだろうか。カタカナとアルファベの混ぜ方。 www.dancerinparis.com オペラ座の現役プルミエール、マリオン・バルボーが踊るのだからダンスシーンは見応えあり…

秀山祭九月大歌舞伎 夜の部

www.kabuki-bito.jp いつ以来だろうか、歌舞伎座。すっかり足が遠のいていた。幕見が復活しているのをすっかり忘れていた。予約もできるようになったんだね。 吉右衛門さん三回忌追善なんですって。過去のポスターが飾られていた。さみしいね。。 今回は『連…

Maestro(s) (ふたりのマエストロ)

ひさーしぶりの映画館。気楽に観られそうなのを選んでみた。 gaga.ne.jp 映画でもドラマでも、父と息子の関係をメインにしている作品はあんまり多くないと思っていて、私が最近観た映画でも、父と娘(たち)の話が多かった。 そうなると複雑な気持ちになるん…

パリオペラ座バレエ団来日公演≪白鳥の湖≫≪マノン≫キャスト発表

来年の2月の話だけど、4年ぶりとなるパリオペラ座バレエ団来日公演、気になるキャストが発表された。 めっちゃ気になってた!!!そしてめっちゃ悩んでる!!! ≪白鳥の湖≫ 2024年2月8日(木)18:30オデット/オディール:オニール八菜ジークフリート王子:ジェ…

Chemins Croisés 本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語

久しぶりの写美へ。 本橋成一とロベール・ドアノー交差する物語2023.6.16(金)—9.24(日) topmuseum.jp 「写真は観る者に想像力を与える」 切り取られた一瞬を見て、その中、その外のあれこれを想像する。どんな場面なのか、何を思っているのか、今この場…

ウクライナ国立バレエ「Thanks Gala 2023」

www.koransha.com ウクライナ支援の気持ちはもちろんだけど、アッツォーニ/リアブコの「シルヴィア」が観たかった。ハンブルク来日公演では踊らなかったこの2人の「シルヴィア」見逃せない。 ゲストダンサーにインタビュー!vol.1 アレクサンドル・リアブコ…

ル・グラン・ガラ2023〈Bプロ〉

Bプロ、まさかのガラで泣きました。 le-grand-gala.com 8/2にAプロBプロをマチソワだったので、体力大丈夫かな(私の)と思ってたけど、今回良席だったこともあってストレスなく集中して観られた。 レオノールとトマ・ドキールの『チャイコフスキー・パ・ド…

ル・グラン・ガラ2023〈Aプロ〉

2つに分けずに一緒にやればいいのにと思ってきたが、いざ観ると、それぞれのガラのコンセプトがこれだけ違うのだから別だよね、ってなった。(先週のオペラ座ガラとのこと) le-grand-gala.com このガラはペッシュ座長のエトワール・ガラの流れを汲んでいる…

オペラ座ガラ〈Bプロ〉

www.nbs.or.jp 今回のこの、フロランス・クレールが指導するオペラ座のダンサーたちが集う『オペラ座ガラ』という形式、とても良かった面と、改善を望む面と、はっきり表れた気がする。 まずとても良かったのが、エトワールらソリストだけではないからこその…

オペラ座ガラ〈Aプロ〉

www.nbs.or.jp 公演が集中するこの夏。パリオペラ座のダンサーたちのガラも2つ。 まずは『オペラ座ガラ』と銘打ったこちらから。 よくあるガラと違い、いろんなPDDを次々に並べるのではない。眠りの花のワルツで始まり、オペラ座のダンサーたちが舞台上に何…

Houria(裸足になって)

gaga.ne.jp リナ・クードリの主演映画、結構観ているな。『パピチャ』と同じ監督、同じ俳優なんだね。なるほど。 アルジェリアが舞台。フランス語とアラビア語が混ざる現地の文化、環境、社会を垣間見る。 バレエダンサーであるフーリアが奪われたバレエを踊…

Mission impossible : Dead Reckoning Part One(ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE)

タイトル長い。(笑) missionimpossible.jp 先日のインディ・ジョーンズに続きIMAXで観たよー。 そしてトム・クルーズも、60代なんだよねえ。あんな見事なフォームで走れるの凄いわーなどと思いながら見た。やっぱり努力してるんだと思う。ただ有名なだけで…

Noism0/Noism1「領域」

noism.jp 2023.7.14(金)19:00 めぐろパーシモンホール 東京初日観てきた。 『Silentium』演出振付:金森穣 『Floating Field』演出振付:二見一幸 今回のダブルビルよかった。好みの系統。 金森さんの『Silentium』は大人な二人による芸術の高み、という趣…

Ténor(テノール!人生はハーモニー)

gaga.ne.jp パリ郊外に住むオペラとは無縁の生活をしていた若者アントワーヌが、たまたまバイトのデリバリーで訪れたオペラ・ガルニエで歌の才能を見出される。こてこてにベタなストーリーなんだけど、フランスそしてパリと郊外の現実をベースにいろんな要素…

Indiana Jones and the Dial of Destiny(インディ・ジョーンズと運命のダイヤル)

www.disney.co.jp ヒーローも歳をとる。当たり前のことが、なかなか受け入れられなかったりするもの。(観客側も。)でも本作のインディは歳をとり、大学の仕事からも引退し、息子も妻も失い、老いて一人暮らしである。 中盤の、というかストーリーの大半に…

英国ロイヤルバレエ団来日公演『ロミオとジュリエット』

ロイヤル来日公演、待ちに待った、サラ・ラムとスティーヴン・マックレー主演の『ロミオとジュリエット』。 ああ、もう、言葉を失う。 マクミラン版『ロミオとジュリエット』の、1つの理想形を観た。 www.nbs.or.jp 2023年6月28日18時30分 ジュリエット:サ…

”プロ”の定義とは

東京にあるバレエ団が、公式アカウントで”プロ”の実情を公に語っていて一部で話題。 プロのバレエ団のはずなのに給料が出ないだけでなく、逆にダンサーがカンパニーにお金を払っている。ほとんどのバレエ団は所属ダンサーにチケットノルマを課しているという…

英国ロイヤルバレエ団『シンデレラ』in シネマ

tohotowa.co.jp マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフというロイヤルの鉄板ペア。ネラ様の鉄壁のテクニックと、理想的ダンス・ノーブルのワディム。お見事。 アシュトン版『シンデレラ』がロイヤルで上演されるのは10年ぶり、初演から75周年とのこ…

TAR(ター)

ケイト・ブランシェット、圧巻。 gaga.ne.jp クラシック音楽界の指揮者というのは、ごく最近までほぼ男性のみで占められていたわけで、その世界のおいてベルリンフィルの首席指揮者になった初の女性(現実にはまだいない)、そのカリスマ性と権力で周りを圧…

Un beau matin(それでも私は生きていく)

なぜこうも自分にとって重いテーマの映画を選んでしまうのかと自問自答しながら観た。 unpfilm.com レア・セドゥとメルヴィル・プポー。ふたりとも絶妙に見事な一般人っぷり。これほど”普通”であることに、俳優ってすごいなあと感心してしまう。 哲学の教師…

KIDD PIVOT『REVISOR リヴァイザー/検察官』

クリスタル・パイト率いるKIDD PIVOTのREVISOR横浜公演、初日を観た。 kiddpivot.dancebase.yokohama 愛知公演後の感想や事前にプログラム購入推奨などの情報から、なんとなく予想していたことではあったのだけど、私の好みのタイプの作品ではなかった。 台…

Une belle course(パリタクシー)

movies.shochiku.co.jp 泣いたー。私の心を揺さぶる要素が満載であった。 原題 ≪Une belle course≫ が沁みる。 でもこれ、邦題「パリタクシー」もそんなに悪くはないと思った。まーたパリって付けとけばいいと思って!的ないつものやつではあるんだが、その…

Illusions perdues(幻滅)

www.hark3.com 1か月以上ぶりの映画館へ。グザヴィエ・ジャノリ監督の『幻滅』を観た。気になってる数本の中からまずどれを観るか、決め手はドランが出てるからかな。 主人公リュシアンが強く抱いていた野望と幻想。野望を持つことも成り上がることも悪では…