American Ballet Theatre: Swan Lake
2018年3月17日14時@Esplanade Theatre
ジリアン・マーフィーの白鳥の日を鑑賞。
今回のABTツアー、個人的にはチケットを即買いするには決め手に欠け、ぎりぎりまで観に行くか悩んだのだけど(演目、キャスト)、最終的にはジリアンを観ておこうということに。
ABTは2014年の日本公演『マノン』以来。実はあの時、主役はいいけど周りのレベルはこんな感じなのか…というがっかり感があり、それもあって今回いまいち乗り気になれなかった。
『白鳥の湖』の見どころは観客の好み以前に、振付・演出がまずあると思うのだけど、ABT版は白鳥の群舞の見せ場が少ない。人数もやや少なく、白鳥の群れが一体となった迫力や美しさは今回感じなかった。
王子については、「白鳥の」湖だから王子は二の次、となるのかもしれないけど、ちょっと淡泊で印象が薄い。
というわけで結局ジリアン頼みか、という気がしないでもないのだけど、さすがの存在感と圧巻の表現でオデットとオディールを演じ分け。台詞なしにありありと伝わる感情と憂いの美しさのオデットと、これでもかと悪の魅力を見せつける自信満々のオディール。
しかしあまりに見事に別人で(別人であってるんだけど(笑))、さすがにあれは王子も別人って気づくよね!?気付かないのおかしくない?というくらい。
黒鳥のヴァリエーションはトリプルを入れるなど見事。その後のグラン・フェッテではちょっと疲れが見えたような。(回転数を競うみたいなのは興味ないからそこはいい)
ジリアンの年齢的にも、全幕で観る機会はもうないかもしれないので今回観ておいてよかった。
『白鳥の湖』は一番回数見ているのがパリ・オペラ座のヌレエフ版なので、パリを基準にすると気になることもある。パリの豪華さ、難易度、物語としての見事さに思いをはせる。
でも地元SDTのレパートリーと比べると(比べるな!)さすがに豪華な衣装や舞台装置だし、やっぱりカンパニーまるごとの全幕上演はいいものだな。
ABT版も衣装や演出はかなり独自路線だよね。ラストは笑いが込み上げた。