アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ドレスデン・ゼンパーオーパー《Impressing the Czar》

ドレスデン・ゼンパーオーパー・バレエのシンガポール公演。

 

Impressing the Czar by Dresden Semperoper Ballett

Choreographed by William Forsythe

15 & 16 Mar 2019 Esplanade Theatre

 

ウィリアム・フォーサイスによる大作《Impressing the Czar》。圧倒された!

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1部は舞台上であまりに多くのことが起こるのでとても追いきれないし、追えたところでわけがわからない(笑)。ずっと頭の中が「!!?!?」状態。常に2つ以上のことが展開されている感じで、それが3つ、4つ、さらに5つ、6つと増えたり分裂したり。さらにテクニック的にもクラシック的であったりそうでなかったり、演劇的であったり。非常にたくさんのモチーフと、理解を超えた構成。1つ1つ種明かししてほしい!

 

休憩を挟んでの2部は《In the Middle, Somewhat Elevated》。このパートだけは知ってた。が、その"空中に浮いてる何か"があの黄金のサクランボだったのねー。とわかったところで理解はできないが(笑)。

とにかくダンサーのみなさんがカッコいい。音楽といい振付といい研ぎ澄まされた感じがとても好き。クラシックのベースがあるからこそ、崩すことができる。みんなキレッキレ。

 

3部はなにやらオークションやっててこれまたわけわからん。そしてここでオークションにかけられた人が4部以降に繋がってる。(多分)

 

4部《Bongo Bongo Nageela》の熱、陶酔!!これね、最初は、「はっ!???」ってなったんです正直。そこからのあの熱狂。私にとっては初めてのもので、なんと言っていいか、「とにかく凄かった!」みたいな状態に。フォーサイスがなんであの衣装を選んだのか、何を考えてこれを創ったのかとか色んなことが頭の中をぐるぐる。何考えてるのフォーサイスさん!(どこかに書かれてるものがあるかもしれない)

 

で、後になってちょっと思いついたんだけど、あの4部Bongo Bongoは祈祷の踊りみたいなものに近いんじゃないか。独特の求心力と陶酔感。

と、バリでケチャックダンスを観てきて思った。直後に行ったので。ただの思い付き。

 

現在《Impressing the Czar》を上演できるのはドレスデン・ゼンパーオーパーだけということで、貴重なものを観れた。呼んでくれたEsplanadeにも感謝。

いわゆるクラシックバレエを期待していくと裏切られるし、それが新たなプラスの発見となるか、ガッカリとなるかは観る人次第。しかしクラシックからネオ・クラシック、そして最先端のコンテまで1作品で網羅しているかのような多様性に驚かされた。理解できたとはとても言えないけど、”わかる・わからない”はどうでもいい、それは後回しだ、と思わされる圧倒的な作品だった。

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そして今回のこのフォーサイス上演が、6月のパリオペ・シンガポール公演でのBlake Works Iへと繋がっているわけですよ。楽しみ!!!

 

Paris Opera Ballet (France)
21 – 23 Jun 2019

Blake Works I by William Forsythe
In the Night by Jerome Robbins
The Seasons' Canon by Crystal Pite

 

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ところで初日、多くのVIP/関係者が客席に来てたけどなんとリー・シェンロン首相も観に来てたよ。SSOの時はすごい警備だったのに今回は普通。2列後ろの席に首相。びっくり。ハローと気軽に挨拶してくれた。サンパ。