ドイツのカンパニー、バレエ・アム・ラインが芸術監督マーティン・シュレプァー演出の「白鳥の湖」で初来日。事前情報が少なすぎて、どーなの??となっていた公演。
Ballet - Deutsche Oper am Rhein
どういった経緯でこのカンパニーを日本に招聘することになったのかなあ。
こんな《白鳥の湖》観たことない!
バレエ界を震撼させたドイツのカンパニー
バレエ・アム・ライン 衝撃の初来日!
というのが公式HPにある売り文句なのだけど、観た皆さん、どうでしたか。これといった新鮮さや衝撃はなかった気がするのだけど。
クラシック・バレエの代名詞ともいえる「白鳥の湖」の新たな解釈、読み替えなどは色々試みられていて、シュレップァー版がそれらを超える何かを見せてくれたかというと、どうだろうか。”古典”ってよく出来てるんだなあと思いながら見てしまった。マシュー(ボーン)天才!とか、パリオペのヌレエフ版を思い出したりとかしながら。やっぱり長年上演され続けているのには理由がある。
例えば、衣装ひとつとってみても、”古典”ではひとめで「あの人主役!」とわかるよね。一方、シュレップァー版では登場人物が現代的で”普通の人たち”であるがゆえに読み取りにくい。女性ダンサーはポワントかバレエシューズかで身分がわかったりもするけど。裸足で踊る場面も結構ある。
音楽や台本はチャイコフスキーが書いた時のオリジナルに忠実とのことで、貴重なものを聴いたのかもしれない。聞いたことがない曲があったり順番が違ったりする。まあそれはいいとして、音楽と振付、場面が合っているんだろうかと、あまり魅力的に思えず一幕二幕はすごく長く感じた。白鳥になっている時と人間に戻る時というのもいまいち曖昧でわかりにくかった。あと、そもそものところなんだけど、湖あった?(笑)
三幕からは前半より良かった。権力をふるう者と抑圧される者。その対比が強烈に描かれる。
しかし一番良かったのはオーケストラ!演奏が素晴らしかったよねー。生オケでの白鳥の湖って久しぶりで、やっぱり生はいいなあと思って聴いていたのだけど、生だからというだけでなく演奏自体が良いからだと気づいた。舞台上がちょっと退屈だった時はオケ見てた。
指揮:小林資典(ドルトムント市立オペラ 第一指揮者)
演奏:シアターオーケストラトーキョー
バレエでのオーケストラの演奏って、「おいおい…」ってなる時は目立ち、演奏が話題にならないってことはある意味成功で、「演奏は良かった!」となるのはバレエ公演としてどうなのかとも思うけど。
今回の公演、初来日でほとんど知られてないカンパニーなのにチケットの価格設定が強気でこれは集客苦戦するだろうなと思ってたけど(実際かなり空席が目立った土曜マチネ)、オーケストラの生演奏だとチケット代が上がってしまうのは仕方がない。
とはいえ、やっぱり高かったと思う。観た上で言うけど。(SS席25,000円、S席20,000円)
そういうわけで最初の、「どういった経緯でこのカンパニーを日本に招聘することになったのかなあ。」になったわけです。私は「いい演奏聴いたなあ」と思うことにする。
シュレップァーは来シーズンからルグリの後任でウィーンの芸術監督になることが決まっていて、ウィーンのダンサーの皆さん大変だろうなあ。