アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

英国ロイヤルバレエ団『ジゼル』 Stream

ロイヤルの『ジゼル』、オンラインで見た。

2022年1月2日まで。(約2400円)

Giselle - Giselle - Royal Opera House Stream

主なキャスト
ジゼル:ヤスミン・ナグディ
アルブレヒト:マシュー・ボール
ヒラリオン:ルカ・アクリ
ミルタ:マリアネラ・ヌニェス

 

ヤスミンとマシューの組み合わせと言えばシネマで見た『ロミオとジュリエット』の感動が印象深い。なんせシネマなのにリピートしたもんね。なので『ジゼル』も期待していたのだ。ネラ様のミルタも見てみたかったし。

 

ロイヤルはやはりお芝居に近い。いやもちろんお芝居をしているのだけど。表現の仕方もわかりやすく大きくやる感じ。ロミジュリのようなドラマチックな作品ではそれがとても自然でロイヤルさすがだなーってなるんだけど、古典中の古典、ロマンチックバレエとなると、私にはちょっと気になるかな。

 

マシュー・ボールのあの冷たさと熱さのどちらも感じさせる立ち振る舞いというのは、なかなか希少な逸材だよなーと毎度感心する。ヤスミンとの息も合っているし、ヤスミンもテクニックに不安なしだし、なんだけど、なんだろなーー、そこまでの良さを受け取れなかった。(きっと私の好みの問題です)

 

1幕、衣装や小道具や舞台装置などはとてもロイヤルっぽくて、村人と貴族の対比や、ヒラリオンの野性味あふれる感じもとてもロイヤル。初めてあの衣装見た時びっくりしたのを覚えてる。リアルすぎでしょう、と。(笑)パリオペのヒラリオンはどうしても上品だからね。ヒラリオンのルカ・アクリの演技もよかった。あと、ジゼル母ね、あの迫力の演技。さすがです。

 

ジゼルが死ぬまでの流れも、パリオペ来日公演で3キャスト見てるのでそちらの記憶が勝ってしまったかな。特に衝撃のアマンディーヌ。(好みの問題です、はい。)

 

2幕、ネラ様のミルタメイクがディズニーの魔女っぽくて怖い。ロイヤルのミルタメイクはいつもああいう感じなんだろうか。

ネラ様はさすがである。圧倒的な女王感。格が違う。ウィリたちを従え、ヒラリオンなど歯牙にもかけずあっという間にポイっとする。あんたなんか存在する価値ないのよ、とでも言いそう。

ヤスミンジゼルはバネがあってちょっと生き生きしてしまうよね。

マシューアルブレヒトは疲れ切った踊りがちょっと下手です。(笑)

 

ロイヤルを見るならやっぱり演劇っぽいものがいいなー。そこに強味があるし、見応えもある。一方ジゼルのような作品では(大げさな)演技ができないまたは作品に合わない分、踊りそのものにより目が行く。クラシックバレエとは、という基礎からくる面がより目立つというか。そうするとちょっと雑にも見える。踊りそのものだけで、つま先だけで魅せるというようなのはパリオペと比べてはいけないだろう。そこはカンパニーそれぞれの個性や強味、伝統などの違いだから。

 

というわけで、ちょうどパリオペもL’opéra chez soiにジゼルが入ったのよ!

chezsoi.operadeparis.fr

 

これおもしろくて、ヒップホップとセットになってるのね。最近オペラ座の傾向。次はこれを見ようと思う。2019年のドロテとマチューのかなと思う。来日公演の前のやつ。

ドロテ/マチュー/オドリック/ヴァランティー

 

同じ作品でもカンパニーが変われば全然違うし、同じ振付でもダンサーが変わればまた違う。

本当におもしろい。(沼が深い)