その3まできた。
Ballet de l'Opéra national de Paris Tournée au Japon 2020
≪Giselle≫
Giselle : Amandine Albisson
Albrecht : Hugo Marchand
Myrtha : Hannah O'Neill
パリオペラ座バレエ団日本公演『ジゼル』
2020年2月29日13時 東京文化会館
まさか『ジゼル』で泣くとは思ってなかった。アマンディーヌのジゼルが素晴らしかった!!
実は大公とジゼル母の娘がジゼルという設定にぴったりの、どこか高貴な雰囲気のあるアマンディーヌジゼル。村人たちに混ざってはいても、どこか雰囲気の違いを醸し出す。夢見がちで、母の忠告にむしろうっとりとウィリを妄想するかのような。美しい脚と雄弁な身体表現。大げさな表情などは一切無用。ため息。
そしてユーゴのアルブレヒトは貴族であることに自覚的で、それを本気で隠す気はない。ヒラリオンとのやりとりにも高慢さや冷酷さがあって、あーこの人は騙してることを重々承知の上でやってるんだなーというように見える。かと思うとジゼルにはニコーッと一番の笑顔で応じる。酷い奴め(笑)
1幕終わり、泣きそうになってしまった。まさかジゼルで、しかも1幕で??と我ながら驚き。なぜこんなにも心震えるのかと自問自答。アマンディーヌのテクニック、踊りのスタイル、役作り、表現、それらの結晶。泣く。
テクニックといえば、私はテクニックチェックみたいな見方は好きではなくて、例えばグランフェッテ何回回ったとか、アントルシャシス何回やったとか、数を数えながら見るのは嫌いなの。生の舞台でミスはつきもの。でも小さなミスなんか忘れさせるような舞台というのがある。(動画で見返して数えるというのなら別にいいと思うけどね)
2幕はさらに素晴らしく、アマンディーヌの考え抜かれたジゼル像、そして優美で美しいフレンチスタイルに感涙。夜明け前、もうアルブレヒトの姿も目に入らない、空(くう)を見つめるジゼルの愛の深さに涙をこらえるのが大変だった。あーーー(思い出し泣き)
1幕で貴族的高慢さのあるアルブレヒトだったユーゴが、アマンディーヌの深い愛のジゼルに呼応して深い後悔を見せ、ジゼルが去ったあとには再び貴族アルブレヒトとして歩き出す。
この日はヒラリオンがジェレミーだったのだが、高慢な貴族ユーゴアルブレヒトと庶民ヒラリオンという対比が効いてて良かった。オドリックのヒラリオンはなんなら彼もノーブルだもんね(笑)
ペザントのトマも脚がきれいよなーー。パリオペだから当然といえば当然なのだが。フランチェスコとはまた違った見せ方で、良かったよ。1回だけのキャスティング残念だけど。
それにしてもちょっと油断してたよ『ジゼル』。3回観たから回を重ねて理解が深まったという面もあるかもしれないけど、3回目が私にとっては驚きの感動だった。
ドロテのジゼルも素晴らしく、あまりの完成度に圧倒されたし、マチューのアルブレヒトはバレエ界の至宝だと思う。アルブレヒトについては、やはり3人の中ではマチューの演技力、説得力が素晴らしかった。深さが違った。ジェルマンとユーゴもアントルシャシスに代表されるパリオペの足先の美しさを存分に見せてくれた。
マチューの投げキスはチュッ!!と響いて、ジェルマンはチュチュチュッ!と回数多めで、ユーゴは音も回数も控えめでした(笑)
アマンディーヌの日が1回だけって残念だー。オネーギンでのタチアナを楽しみにしておく。
後半の1週間もみんなが健康に過ごせますように。