ミセス・ハリス、パリへ行く Universal Pictures Japan
これは優しい映画。心温まって帰路に着く、そういう映画。おとぎ話だけど、たまにはこういうのも見たいよね。
ミセス・ハリスの人柄に、関わる人みんなが魅了され、影響を受ける。彼女がパリに着いて泊まるところがなくて仕方なく駅の待合室で一晩過ごすんだけど、あれで朝起きたらバッグとか全部無くなってるんでしょ!?と思った私の心は荒んでいる…。一方ミセス・ハリスは良い人ばかりを引き寄せる。
ディオールのメゾンのリアルは私には全くわからず想像するしかないけど、どうなんだろうな。この映画で描かれてるような雰囲気があるなら救われる。確かにオートクチュールの顧客は貴族や大金持ちだけど、そういう人たちのために実際にドレスを作っているのは職人であり一般人である人たちだ。彼らは自分たちと同じ一般人であるミセス・ハリスのためにドレスを作り上げたい、ぜひ着てほしいと願う。
ドレスが仕上がるまでパリに滞在するミセス・ハリスは伯爵と親しくなり別世界を垣間見る。伯爵のあの優しさと、それと表裏一体の残酷さね。無自覚のやつ。でも少しは気づいたのかもしれない。どうだろうね。
1950年代のディオール、初めてのコレクションから10年という設定だったけど、ディオールのメゾンそのものの存続、経営など難しい時期があり、特定のごく少数の顧客のためのメゾンではなく、ディオールを着たい、欲しいと思う女性のためにより開かれたブランドになっていく。そういう時代であると。社会の変化、労働者こそが社会の主役なのだと。
一見対立しているように見えるディオールの支配人ユペール様とも、実は、働く女性同士、わかりあえるものがある。抱えているものがたくさんある。
終盤は胸が痛むんだけど、でもそこはね、おとぎ話ですから。最後の最後は優しい。
しかしフランス人の描き方がおおむね好意的で驚いたよ!(笑)
ディオール展も楽しみ。
パリで開催した時のドキュメンタリー。