フランス映画らしい映画だったー。社会にある問題を背景にしつつ、くすっと笑って、ぐっときて。
バラを育て、新種を作り、コンクールに出品してきたけど経営はピンチのエヴのところに職業訓練所から来た3人。エヴにとっては自分のバラだけが大切でそれ以外には無頓着無神経でもあったわけだけど、”よそ者”との関わりがエヴと、エヴのバラを変えていく。
中でも前科者のフレッドは、バラになんの興味もなく仕方なしに参加しているようでいかにも問題児っぽいんだが、エヴはフレッドの前科さえバラのためなら活用してしまう。強い(笑)。
そしてエヴはフレッドの持つ才能に気づき、彼を新たな世界へと背中を押す。自分には家族もいないしバラだけだから気楽のものよと言うエヴと、両親から捨てられたフレッド。
この、血縁によらない人間同士が信頼や繋がりを築いていく、というのに私は弱い。どんなにバックグラウンドが異なってても、全然違う世界を生きてきたように見えても、人と人は時にとても強い繋がりを築くことができる。これを自分の経験上、知っているからね。血や家族で縛る必要はないんですよ。
どんな親のものとに生まれ、どんな生活をしてきたとしても、偏見でジャッジされることなくその人の本人の魅力や才能を認めその人を好きになる。みんなそうできたらいいのに。
バラの生産者の様子が垣間見れたのもよかった。全然見たことなかった。素敵な仕事だなーと思うと同時に大変だよね、自然、気候に左右されてしまう不幸もあり得るし。実在のバラ生産者が農園を撮影に提供しているのね。
家族経営の小規模なところが大規模大手に顧客を奪われ苦戦するというのも、どこの国でも業界でもある話よね。自分の近所でも個人経営のお店を応援しないとなという気持ちに最近は特になっているが…。
全体に楽しく気軽に見られるしバラ園も美しい映画。もうずいぶん昔の話で記憶も薄っすらだけど、パリ郊外のバガテル公園、行ったことある。一緒に行ったパリで花の勉強をしていた友人、いまはどこで何しているだろうか。