アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Deux moi(パリのどこかで、あなたと)

セドリック・クラピッシュ監督の≪Deux moi≫が公開。

 

映画『パリのどこかで、あなたと』公式サイト

 

フランスでの公開が2019年9月だったようなので1年遅れ。もちろん、コロナ前。パリの景色、かつての日常の風景。ああ、前はそうだったよね…という郷愁が湧いてきた。

マスクなしでメトロやRERに乗る人々、素手で無造作につかまる電車のポール。こういう映画、次に作れるのはいつになるのかしら。

 

さて本題。メラニーとレミは隣り合う別のアパルトマンの住人で、路上や近所の店ですれ違うことはあっても顔見知りですらない。それぞれ悩みやストレスを抱え、都会での一人暮らしをしている。

2人の人物像が、特別でなく、すごくいそうなサンパな若者。この特別じゃない感じがよかった。感情を強く揺さぶられるような劇的なことは起きない。それぞれの日々がそれぞれに描かれる。それぞれが胸の奥底に抱えてた重荷を乗り越えた先に、というストーリー。なんというか、みんなが多かれ少なかれそういうのあるよね、と思えるというか。自分の中の暗い面も、向き合ってみればそんなに悪いものじゃないよね、と思えるような。良い後味。前向きになれた。

 

アラブ、カリビアン、ジャポネ、シノワなど多文化が入り交じるパリらしさも感じられるし、マッチングアプリで出会いを求める今時っぽさもある。力むことなくパリの今の様子を描いてるっていう雰囲気がクラピッシュらしいなーと思った。(”今”といってもコロナ前だけど)

 

ノエルに田舎に帰ったレミが兄に、「空気は汚いけど、パリの方が息ができる」と言ってて、「わかる!!!」となった。都会は孤独でもあるけど、誰でもなくいられるのが心地よいんだよね。わかる。

そして白猫ちゃんをかわいがるレミが可愛すぎた!!

 

ちょいちょいダンスの話が出てくるのだが、さすがクラピッシュ監督、パリ・オペラ座のオレリー・デュポンとマニュエル・ルグリが踊る『ル・パルク 』の解放のパドドゥ(振付プレルジョカージュ)のあの有名な場面が使われていたよ。

 

ところでクラピッシュ監督、どこで魚沼産のお米なんて知ったんだろう。(笑)

 

「パリのどこかで、あなたと」とは、ほんと毎回よく考えるよねーこういう邦題。どうしても”パリ”って入れたいんだよね(笑)。

でもこの作品では、”パリ”は入ってても納得かな。

f:id:cocoirodouce:20201211224058j:image

f:id:cocoirodouce:20201211224146j:image