事前情報でちょっと警戒してたのだけど、思っていたよりはよかった『ミッドナイトスワン』。しかし、モヤモヤは残る。
ステレオタイプに見えてモヤモヤする。そして、人が連帯して生きていくときに必要なのは「母性」ではないだろ、とも思う。
トランスジェンダーの凪沙の抱える苦悩を他者が簡単に想像できるとは言えない。でも映画で描くときに、そのキャラクターがどう生きるか、どう終わるかは、それ自体がメッセージになる。
美しい景色と人生のラストを”感動”に利用してるのかもしれないよなと。「かわいそうだったね」と。だってあの先も元気に生きて行ったってよかったし、そうであれば今、現実に生き辛さを感じている観客へのencourageにもなる。しかしそうはしなかったところに監督の”趣味”がある気がする。
とまあ穿った見方をしてしまったかな。
あと、邦画ではキャラクターの心の動きや内心感じたことをセリフとして言わせてしまうことが多いと思う。そこは役者にも観客にも、もっと信頼を置いてもよいのではないか。言葉で言わないと伝わらないわけじゃないので。というか、余計なこと言われると冷める。
作中の一果のバレエ上達ぶりが物凄いスピードなんだが(笑)、一果役の服部樹咲さんこれからもバレエ続けていくんでしょうね。楽しみですね。