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マキシム・パスカル来日 読売日本交響楽団演奏会

2017年のパリ・オペラ座バレエ団来日公演でものすごい存在感を放っていた若き指揮者マキシム・パスカルが来ると知って、公演が実現するならぜひ行きたいと思っていたのだ。

 

読売日本交響楽団 演奏会 東京芸術劇場

 

フランス指揮界期待のトップランナー、マキシム・パスカル東京芸術劇場開館30周年記念公演で読響に初登場。話題のピアニスト、反田恭平とともに開館30周年を祝う!


2020年12月04日 (金)19:00 開演

望月京/むすび
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/海
ラヴェル/ラ・ヴァルス

指揮:マキシム・パスカル
ピアノ:反田恭平
管弦楽読売日本交響楽団

 

現在海外から日本への入国者には14日間の隔離が求められているため、たとえ1日限りの公演だとしてもその制約がアーティストにも適用される。(ウィーンフィル等の例外を除く)

平常時なら、世界中を飛び回ってる指揮者を14日間もホテルに缶詰めだなんてまずできないだろうけど、今ヨーロッパはほとんど公演ないもんね…。マキシム・パスカルも14日間の隔離ののち、ついにコンサートホールの指揮台に立ったのだ。それだけですでに感動してしまいそう。

 

指揮者からこれほど目が離せないオーケストラの演奏というのも、なかなかないのではないか。

もともと私は身体表現が好きなので、指揮者にしても演奏家にしても、時にはその様子そのものが奏でる音以上に表現に見える。

 

指揮台のマキシムは大きな鳥のようであったり、うねりのようであったり、とにかく彼自身が音楽そのものなのだとごく自然に思える。発している音楽の中心にマキシムがいて、音楽のドームがあるみたい。そんな風に見えたんだよまじで。(うまく言えない)

 

腕が長い。手が雄弁。もしかしてマキシム、ダンサーなのでは?(笑)

マキシム用にひとまわり広い指揮台を用意したらどうだろう。(半分本気)

 

まるで振付家がオーケストラメンバーそれぞれに振付してるみたいだったなー。視線くぎづけ。ネガティブな点をあえて挙げるなら、脳の活動が視覚に重点配分されるので音楽のみを味わえるかというとNon。しかし身体表現も含めて音楽なのだ。あ、あと、日本の演奏家って一般的に身体の動きが少なめなので、マキシムの身体表現にもっと感化されてもいいのかも。(笑)

 

ホテルに缶詰中のマキシムにインタビューしたこちらの記事を事前に読んでいたので、

業界人突撃インタビュー第11弾 マキシム・パスカル氏(指揮者)

本番の譜面台に載ってる楽譜を何度かオペラグラスで覗いてみたんだけど、確かにきれいだった!そしてLa Merの楽譜にはピンクの付箋が何枚も貼られていた!

今後、日本のファンから付箋のプレゼントが増えるのではないだろうか。(ほんとになりそう!)

 

1曲目の「むすび」の作曲家、望月京さんが客席にいらしてて演奏後マキシムも舞台上から拍手を送っていた。響きは和っぽいのにジャズっぽくなったぞ、と思ったら祭囃子?みたいな、そのフシギワールドをマキシムが泳いでいるかのようだった。

 

ラヴェル左手のためのピアノ協奏曲の反田さんのピアノ、左手のみとはとても思えない多彩な色どりだった。落ち着いて見えるけど若いんだよね反田さん。アンコールも聞きごたえあった。

 

ドビュッシー『海』とラヴェル『ラ・ヴァルス』はマキシムの指揮っぷりを堪能できて満足。パリオペの時もそうだけど、フランス音楽はとても合うよね。フランス人なので当たり前と言われてしまうかもしれないけど、国籍で決まるものじゃないと思うしね。マキシムの指揮のスタイル、ラヴェルドビュッシーにある華やかさや新しさやうねりみたいなのがいい。

 

脳への刺激をいっぱい受けてきたので今夜はなかなか眠れなそう。

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