アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

木村伊兵衛と画家たちの見たパリ 色とりどり

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2022年2月19日(土)~2022年3月27日(日)@目黒区美術館

mmat.jp

 

目黒区美術館、いいのやってくれる。規模は小さいけど内容好きよ。

 

youtu.be

 

木村伊兵衛が初めてパリを訪れたのが1954年だそうだ。その頃のパリの様子がカラーで生き生きと見られる。

 

うわあパリ!懐かしい!という思いと、70年近くも前なんだなあという驚き。

 

下町のお店や、カルティエ・ラタンの書店、ロンシャン競馬場。庶民の様子、シャンゼリゼのカフェのテラスのマヌカンの垢ぬけた様子、興味深かった。当時の空気感が伝わってくる。自分の記憶の中のパリを思い出しながら見たよ。

 

伊兵衛さんのパリの感想。一部抜粋。

 

来てよかったと思った

何より人間が大人で気持ちがよい

言葉が通じなくてもからだに何かが感じられる

(1954年10月20日

 

何より人間が大人で気持ちがよい。ですよね!!!めちゃくちゃ伊兵衛さんに共感してしまった。(笑)

パリではアンリ・カルティエ・ブレッソンの案内であちこち出かけたりしてるのね。ああ、同行してドキュメンタリーとか撮ってほしい!どんなこと話ながら写真撮ってたんだろう。

 

今回の展示、写真の説明に伊兵衛さん本人の文があったりして、撮影の状況や意図がわかっておもしろかったな。夜の霧は写真向き。メモメモ。

 

展示室の説明にあったんだけど、画家たちは1920-30年代からパリに渡っていたのに比べると、写真家のパリ到着は遅い。やはり写真は絵に比べると新しい技術だったからなんだろうか。

戦前から日本の画家たちが何十人もパリに行っていたとは、こう作品を並べられると驚く。フランスの国費留学生もいたそうで、戦争で中断したとはいえ、のちに再開される。

 

しかし画家たち、見事に男性しかいない。絵の才能って、男性にしかないわけではないだろうに。画家になりたくても術がなかったのか、そもそも画家になるなんて考え付きもしない環境だったのか。そういう女性たちがいたんだろうなとも考えてしまった。芸術は時間も国も関係なく飛び越えるし、性別もだよね。

 

現代において過去の芸術家や作品を取り上げる時には、過去の偏りを強化したり正当化したりする方向ではなく、偏りを是正する方向で紹介してほしいなーとも思う。

 

目黒区美術館、昔近所に住んでいたことがあり何度も行ってる美術館で、今回は好きな写真家・木村伊兵衛とパリという個人的に見逃せない展示会だった。行けてよかったー。また図録が増えてしまったぜ。

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