アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂

www.artizon.museum

 

パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂

2022年11月5日[土] - 2023年2月5日[日]

 

なんと充実の展示内容!これほどの展示数はなかなかないのでは。2時間くらいかかると思う。見応えがあって時間が経つのを忘れるほどだった。

 

フランスにおけるオペラ、バレエ、そして劇場の位置づけの歴史を17世紀から現代に向けて辿る。建築物としてのオペラ座、そして上演される作品、作曲家、演者、とどれについても詳しい。本当によく資料が残っている。フランス国立図書館からかなりの点数が来ている。モーツァルトの自筆譜もあればドラクロワによるダンサーの肖像もある。オペラの舞台デザインや衣装デザインなども多数。これで所蔵の全部ということはないはずなので、相当な数のものを管理・保存してるんだろうなあ。

 

オペラに疎いのでバレエになると俄然興味レベルも上がるのだが、タリオーニ所有のポワントが展示されてたんだけど幅がめちゃくちゃ細くてびっくり。あんな細いのに足入るの!?となった。そして現代のポワントと違ってつま先部分が細くとがったような形で、これで立つのは大変だわ…そりゃあ妖精感出るわ…。

 

そしてフランスでのバレエが、女性ダンサーメインとなり、内容よりもダンサー重視となったため衰退しバレエの中心地がロシアに移ったというのが、なんともこう、示唆に富んでますね。踊り子とパトロン、社交場としてのオペラ座、というのが強くなりすぎた結果中身つまんねーじゃん、と一般客に見放されると言うのは、現代でもジャンル問わず肝に銘じておくべきでは、となる。

 

ルイ14世自身が踊っていた時代から、より幅広い、というかすべての人々を対象に扉が開かれていることを目指している現代のパリ・オペラ座、最近の取り組みはまさしくそれを意識したものが多いし、ここ数百年の流れの中に現代のオペラ座を位置づけてみると、歴史から学ぶこと、維持すること変えること、変わっても残るもの、という大きな流れが見えてくるようで、とても充実した時間だった。

 

最後の方の部屋でバレエの映像を流していた。説明書きには1984年だか1986年だかの白鳥の湖と書かれていた気がするんだけど、レオノール/ジェルマン/アリュのトリオの最後の場面だったよ。(2019のかな?)時間がなくて他の作品まで確認できなくて残念。せっかくならもうちょっと大きな画面でスペースも多めに取るともっとみんな見られるのにね。

 

全体としてとても充実していて、さすがブリヂストンーいしばしさんーみたいな気持ちになった。(笑)図録も大判でずっしり。近頃の相場からすると破格な気がする。これは展示のチケット代も同様。

 

美術館自体も新しくなり、1階にあるカフェレストランもとても素敵で、友人の計らいによるランチでのサプライズもあり、料理も空間もサービスも素敵でとーーっても充実の時間を過ごした。

アーティゾン美術館 ミュージアムカフェ

 

企画展も最近は、どこを訪れても世知辛く感じることが多いのだけど、ここにはまだ余裕があった。また行きたい。

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