アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

マシュー・ボーンの『白鳥の湖』来日公演2019

前回の来日公演が2014年だからなんと5年ぶり。今回はロイヤル・バレエ団のプリンシパル、マシュー・ボールが参加。

2019年7月17日18時30分 オーチャードホール 

ザ・スワン/ザ・ストレンジャー:マシュー・ボール
プリンス:ドミニク・ノース

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お目当てのマシュースワン、最初の王子のベッドの上で羽ばたく様子がもう!ぞぞっと鳥肌がたった。クラシックバレエのダンサーが踊るザ・スワンは腕や背中の使い方、足裏の使い方がなめらかでゾクゾクする。オリジナルキャスト、アダム・クーパーも初演時はロイヤルのプリンシパル。同じ系譜にあるのだよね。

マシュースワンは若い雄で精悍で美しく危険な獣。しなやかな身体から匂い立つ存在感に目が離せない。ごめんドミニク王子、あんまり観てなかった。(笑)

蹴り上げたつま先の美しさ、静止した時の身体のライン、舞い上がった時の浮揚感、どの瞬間をとっても美しくさすがバリバリのクラシックバレエダンサー。

ザ・ストレンジャーではフェロモンを振りまきまくってその場のみんなをメロメロにするわけだが、あの見た目の悪魔的な美しさ反則!となりつつ踊りはエレガント。やりすぎないところはマシューの若さゆえか、ロイヤルの品の良さか。

四幕、ベッドから出てきた時点でだいぶ弱っていて、二幕での精悍さがあるだけに余計に辛い。本当によくできたプロダクションだよなあ。

 

というわけで完全にザ・スワンの物語として観た今回。王子とザ・スワンの物語という面では少し薄かったのかな。というか、前回のマルセロ・ゴメス&クリス・マーニーのペアが衝撃的に濃かったせいかもしれない。(笑)

 

今回新演出とのことで、変わったかも?とところどころ思いながら観ていたんだけど、一幕に少年王子がいないとスワンのぬいぐるみを持ってた場面がないから、一番最後、ザ・スワンに抱かれて寝室の窓に見える場面が、初見だとどう見えるのかな。(スワンが子供の頃からの特別な存在だったと思ってたのだけど)

あとベッドの下から三羽出てくるところ大好きなんだけど、後ろの壁に大きく映るスワンの影の使い方も含めて好きだったんだけどあの演出変わっちゃった?

 

それにしてもサー・マシューは男性ダンサーの背中や腕の美しさがどれほど人の心をとらえるかよくわかってるよな!あの羽ばたき、あのポーズ、本当にありがとうマシューとアダム!

 

もはや古典「白鳥の湖」の新解釈版の中の"古典"と呼んでもいいのではないかと思われるマシュー・ボーンスワンレイクチャイコフスキーの音楽の素晴らしさと共に、こんな素晴らしい作品を創ってくれてありがとうマシュー!となる。

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