最終日行ってきた。フシギな組み合わせの公演だった。
『A Million Kisses to my Skin』 <新制作>
【振付】デヴィッド・ドウソン
【音楽】ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
これはおもしろかった。技術的にはクラシックがベース、シンプルな衣装に音楽はバッハ、ライティングもよい。女性ダンサーの美しさ(体型的な)にはここまで来てるだなーという思い。あの衣装は美しい身体でないと厳しいし。ごまかしがきかない。
作品は好き。欲を言えば一部のダンサーはもう一息、よりエネルギーというか、内から湧き出るような何かが欲しい気がした。”振付を踊っている”を超える何か。振付をものにし、その上にプラスする何か。ダンサーの個性が出るよね。個性のあるダンサーに踊ってほしい作品。直塚さんよかった。
休憩を挟んでゲスト2組。まずはロイヤルのヤスミン・ナグディとマシュー・ボール。
『眠れる森の美女』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
【振付】マリウス・プティパ
【音楽】ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
ロイヤルのプリンシパル二人をゲストに呼んでなぜ『眠り』だったのかな。期待値を勝手に上げてしまっていたのだが、ロイヤルの皆さんに期待するのはこういうザ・古典ではなくて(というかザ・古典だと余計なことが気になってしまうので)、ロイヤルならではの演劇性の高いものがよかったかも。観にくる子供たちにもお馴染みのヴァリエーションを見せてあげよう的な意図なのかしら、などと勘ぐってしまう。
続いてハンブルクからアリーナ・コジョカルとアレクサンドル・トルーシュ。
『ドン・ジュアン』(抜粋)
【振付】ジョン・ノイマイヤー
【音楽】クリストフ・ヴィリバルト・グルック、トマス・ルイス・デ・ビクトリア
そうそう、こういう他では見られないというようなものを、ロイヤルの2人にも選んだらよかったよね。抜粋でも物語の世界を作る、さすが、というのを見せてくれた。脈略のないプログラムの中で別世界。コジョカルのこの世のものではない感すごい。
最後はバランシンの『シンフォニー・イン・C』
【振付】ジョージ・バランシン
【音楽】ジョルジュ・ビゼー
ごめーん、つまんなかったーー。もうね、自分のバレエ感度を疑うレベルなんだけど、単純に好みの問題はまずあるとして、ダンサーの”魅せる”が圧倒的に足りないと思う。ごめんね勝手なこと言って。でもさ、発表会じゃないんだから、自信満々に魅惑してほしいのよ。バランシンだよ。楽しんで踊ってるの小野さんくらいに見えたよ。経験値の差はあるにせよ。
メンバーにもっと多様性が必要なのかなと思った。普段からコールドバレエでは統一感や揃っていることが求められているとして(それは得意よね)、ソリストや主役になった途端、急に”個性”を求められても無理があるのと同じで、例え若くてコールドバレエであってももっと自我、自己、個性、キャラ、どう表現してもいいけども、そういう”個”をもっともっと表に出す必要が普段からあるんじゃないか。なんならバレエ以外の生活の中でも。強さとか主張とか、求められて育ってないもんね我々…。意識して出していかないと。
海外のカンパニーをバリバリ経験しているダンサーがもっと増えるとか(直塚さんみたいな)、そういう”刺激”があれば雰囲気変わるかも。いや、まあ、そもそもそういうの求めてないですってことなら、そういうカンパニーなのだということで別にいいのだが。
新国を見るといつも感じることだけど、ほんと我々社会を反映してるよねえ。
作品にストーリーもないのだし、ダンサーの個性、力量、魅力以外に何を期待したらいいのか!そのポジション、例えばアマンディーヌやヴァランティーヌらが踊るとして、とか考えちゃう。
ああ、モヤモヤが募る。今年1つめのバレエ公演。