六月大歌舞伎、夜の部は三谷かぶき。
『月光露針路日本(つきあかりめざすふるさと)風雲児たち』
これは歌舞伎なのか?と思わないでもないけど、これも歌舞伎なんだろう。三谷幸喜作・演出、幸四郎、猿之助、愛之助、染五郎、八嶋智人ら出演。
伊勢から出航した船が遭難しロシアのはずれの島に漂着。日本に帰る手段を求めて広大なロシアを転々と旅していく。
まあ面白い。笑った。全般的に歌舞伎味は薄目で、その点が少し物足りなくもあるんだけど、非常に自由でのびのびしている。古典的テクニックをところどころに入れていて、ああいうのを歌舞伎役者がやれば歌舞伎なんだろうな。(笑)
終始現代劇っぽい中、浄瑠璃がとても効いててあれがあるから歌舞伎にもなる。いつものあの調子で「着~いたところは、カムチャ~ッカッ!」とか言われるとそれだけで笑ってしまう。いかに普段から浄瑠璃がお芝居の中で重要なのかがよくわかる。三味線の使い方も面白かった。
染五郎くんがいい役をやっていて、もちろん彼のための役なんだけど、今のあの年齢ならではの存在感が活かされててとてもよかった。船乗りとしては才能なしとみなされてた少年が、いち早くロシア語を覚え現地の人との通訳として存在意義を発揮する。この設定とてもよい。特に2幕の見どころの多くは染五郎であった。
それにしても衣装や装置が「バレエか何かですか??」ってのも登場し、この作品のために作ったんだろうが、凄いよね。チケット売れててよかった。