クリストフ・オノレ監督の≪Chambre 212≫、邦題『今宵、212号室で』っていかにもル・シネマっぽい邦題だなあと思った(笑)
キアラ・マストロヤンニ演じるマリアは結婚生活20年の間に数えきれないほどの愛人がいたという設定で、その夫リシャールを演じるのがバンジャマン・ビオレ。(彼ら元夫婦なのだよね。)
こんなにファンタジーなストーリーだとは知らなかった。しかしマリアの浮気を知ったリシャールとの会話も、20年前のリシャールとの会話も、リシャールがマリアへの思いを語るのも、率直で、ズバズバと、グサッとくる言葉の数々。
自分だったら、現在の夫よりも20年前の夫の方が好みだろうか?(笑)自分や夫の顔や身体の老いは、自分にとってどれくらいの重みをもっているだろうか?
設定も展開も突飛なので登場人物の誰かに共感するといった見方にはならなかったけど、マリアやリシャールと同じように大人な年齢である自分だからこそ、味わったり、受け止めたりできる映画だったかなと思う。20年前の自分だったらどう思っただろう。過去が増えるほど「もしあの時~だったら」の中身も増える。
アズナブールのそっくりさん(そんなには似てない)登場にちょっと笑った。あとリヒターの四季が使われてて「おおっ!」となった。(パイトのThe Seasons' Canonを思い出さずにはいられない)
マリアとリシャールのアパルトマンやその向かいのホテルのあたり、マリアが歩いてる場面であーあの辺かなーとなんとなく感じていたのだけど、あのホテル実在するのね。エンドロールで名前出てた。”Hôtel Lenox Montparnasse”
オノレ監督ってこういう作風だったっけ?と以前見たのを思い出そうとしたけどなんだったかな。非常にフランス的な作品だった。