アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Été 85(Summer of 85)

フランソワ・オゾン監督作品。

 

summer85.jp

 

フランソワ・オゾン、映画製作の原点となった小説を映画化
運命の出会いと永遠の別れ、狂おしくも切ない初恋に溺れたあの夏─
少年同士の瑞々しい刹那の恋に魂が震える、最高純度のラブストーリー

 

とあるんだけど、ラブストーリーと言われると、それはほんの一部なのでは、という気がする。

 

オゾンの最新作ということ以外はほとんど知らずに観たので、冒頭にメインキャストの名前が流れて、メルヴィル・プポー出てるんだ!というのと、話が展開し始めると、ああーオゾンってこういう感じだったよねーーというのと。

 

とにかく心がザワザワさせられるというか、やばいやばいって感覚に襲われる。ダヴィッドとダヴィッドの母はもう、何をしててもやばいオーラが出てる。(私にはそう見える笑)関わったら危険だぞっていうのが出まくってるのよね。

 

でも16歳のアレックスはダヴィッドの魅力に抗えるはずもなく。

 

オゾンは役にピッタリの若い才能を見つけてくるよねー。ちょっと『危険なプロット』を思い出した。

 

個人的には16歳の少年と18歳の少年の恋愛というよりも、アレックスが自分を発見していく話、という方がぴったりくる。

アレックスは進路に悩んでて、海で救世主として登場した美少年ダヴィッドに出会い、自分とは全く違うタイプのダヴィッドに戸惑いつつも惹かれる。自分のセクシュアリティの自覚、幸せと痛み、悲しみ、絶望、それらを経たアレックスは、進路に迷ってたアレックスとはもう違う。ひと夏であまりにも密度の濃い経験を積んでしまった。

 

16歳にはちょっと重いよねえ、と思わないでもなかったのに、最後の最後でアレックスには私の心配など無用だったのだとわかった。やるなオゾン。

 

ところでメルヴィル・プポー好きなんだけど、最初に名前が出てなかったら、あの見た目だけでは見過ごしていたかもしれない!!声でわかったけど!!さすが俳優、凄いなあ。

 

1985年の話なので衣装がバリバリ80年代風で、今の感覚だとダサッってなるんだけど(笑)、映像の質感といい音楽といい衣装といい、オゾンのこだわりなんだろう。

あー、フランス行きたい。

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