アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Kバレエカンパニー『クレオパトラ』 inシネマ

初演時の評判を聞いてたので、疲労困ぱいながら見に行ったクレオパトラ。これはびっくり。全然眠くならなかった。

 

全くのゼロから完全オリジナルの全幕バレエを創った熊川さん、凄い。日本でこういう作品を創ったこと、そして「大人の」バレエ、「大人の」ストーリーであるところがまた日本においては画期的なのでは。とかくおとぎ話、夢物語に寄りがちな日本のバレエ界でこの内容、やるなーと思った!

 

それが実現出来たのも中村翔子さんという強く大人な女性ダンサーがいるからだよね。あの強さを表現出来る日本人ダンサーあまりいない。

他の女性ダンサーたちの表現の"弱さ"も気になる。優しく可憐でふわっとした役・表現は日本人ダンサーもするけど(というかそういう役しか上演されてないのかもしれないけど)、相手に対して上から行くような強い女性、自信満々、誘惑、翻弄などをいざやろうとしても出来ないのではないか。それはもしかしたら普段からの生き方、社会からの求められ方が、"優しくおとなしく可愛らしく"だからではないか。そんなことを考えてしまった。

 

男性ダンサーは個性様々揃っているカンパニーなので、だからこそ作れた作品でもある。顔が小さくてすらっとしたスタイルのいい男子を揃えてるわけだが、これもまた、それだけじゃダメなんだなあと気づかされる。若いダンサーが多いし、線が細くて身体が薄いので、コールドのパワー・迫力に劣る。ああなんて厳しいのバレエって。

 

とまあ気になるところもあるけど、まずはこの成功は素晴らしい。こういうオリジナルのレパートリーを持つことは重要なことではないか。

f:id:cocoirodouce:20190814221704j:plain