3年に1度開催される世界バレエフェスティバル、Aプログラム。
2018年8月5日14時 東京文化会館
世界バレエフェスティバル 2018/NBS公演一覧/NBS日本舞台芸術振興会
4部制でトータル4時間を超える長丁場。観る方も体力勝負。
ひさしぶりに観るせいか、一流ダンサーたちの競演を目の前にして何度もうるうるしてしまった。全部についてはとても語れないので印象深かったことをいくつか。
アイシュヴァルトとリアブコが踊ったウヴェ・ショルツの「ソナタ」、美しい作品だった。ベテランダンサーたちから立ち昇るあの言葉なき雄弁さというのに私はとても弱い。その存在自体に感動してしまう。
ロイヤルのペア、ラムとボネッリの「コッペリア」は、観る前は(なぜこの2人がコッペリアなの…)と思ってたんだけど、いざ出てきたらサラのキラキラっぷりがもう本当に輝いていてかわいくて、一流の大人のダンサーが踊ったらコッペリアもこうなるのか!とすごく楽しめた。
ハミルトンとボッレの「カラヴァッジオ」、完璧といっていい美しさと身体能力を持つ二人によるなんと美しいカラヴァッジオ。ボッレはもちろんだけど、そのボッレに全く引けを取らないハミルトンも素晴らしかった。人間の身体の美しさの極み。
期待と不安が半々だったオレリーとプロイエットの「…アンド・キャロライン」がなかなかおもしろく好きな作品だった。バレエフェスだから観られたペア・作品の1つだったと思う。
オレリーたちのコンテの直後だったこともあって、アレクサンドロワとラントラートフの「ファラオの娘」は音楽が始まって(なんて古臭いのかしら…)なんて思ってしまったんだけど、こういうのを華やかに場を制して踊って見せるのさすがだった。
フェリとゴメスの「アフター・ザ・レイン」、なんと神々しいフェリ!そしてゴメス!雄々しく逞しいゴメスの背中と長い腕、そこに簡単に包み込まれてしまう細く華奢なフェリ、しかし細くも強靭で雄弁な脚。なんという高みまで到達しているのだろう…(涙)
アッツォーニとリアブコ「ドン・ジュアン」、この2人の踊りにはいつも必ず引き込まれる。物語を紡ぐ力、作品に没頭する様、そしてもちろんテクニックも素晴らしくて。ごく一部分を踊っているのに物語全体が見えるかのよう。
そして最後に登場したミリアムとマチアスの「ドン・キホーテ」。おそらく万全のコンディションではなかったと思うのだけど、全幕プロとAプロのトリと大役を担った今のパリオペの顔といっていいエトワール2人。とかく派手なテクニックを盛り盛りにしてくるダンサーが多いドンキでも、この2人はほんと上品で優美。出来ればパリオペ衣装でヌレエフ版を見たかったけど、今のコンディションで最大限魅せてくれたと感じた。この2人を観られてしあわせ。
ああやっぱり長くなってしまった。
次々登場するみんな素晴らしい脚の持ち主ばかりで、まさに神に選ばれし者たち、といった感。しかし生まれ持った身体条件だけでは決して決して到達出来ないところにいる人たち。心から尊敬。(Bプロにつづく)