アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ル・グラン・ガラ 2019 Bプロ

ル・グラン・ガラBプロはAとはだいぶ趣の異なる内容。

前半はバランシン「ジュエルズ」からエメラルドとダイヤモンド。

後半は昨年のル・グラン・ガラに続きマンチーニ振付の新作「マリア・カラス」。

 

ル・グラン・ガラ 2019 Aプロ - アートなしには生きられない

 

まずエメラルド。レオノール、ジェルマン、ドロテ、マチューと世代の違う2組のエトワールが並ぶ豪華さ。成熟したエトワールの異論なしの存在感、若いエトワールの瑞々しさ。それぞれのペアの持ち味があり、でありながらフレンチスタイルで統一された美しさ。本当に優雅で柔らかくエレガント。うっとり。

 

そしてアマンディーヌとユーゴのダイヤモンド!!これまた凄い。前回これを観たのはミリアムとマチアス。あの高貴な美しさも忘れがたいものがあるけど、今回のアマンディーヌとユーゴのはまた別の気高さがあり素晴らしかった。体温が感じられるダイヤモンドというか、語るダイヤモンドというか、とにかく今までに観たことのないダイヤモンドだった。

 

さて、マンチーニさんによる新作「マリア・カラス~踊る歌声~」。8人総出演で、女性ダンサーたちはマリアを、男性たちはマリアの人生に関わる男性たちを表す。音楽はもちろんマリア・カラスで、彼女の歌声が人生のさまざまな時を表すのだけど、私がいまいちオペラに疎い&高い声(ソプラノ)が不得手のせいか、歌と踊りがあまり一致しなくて、ひたすらダンサーをガン見する状態に。ここは使用曲に思い入れがあるかないかが大きかったかもしれない。

コンセプトは壮大で意欲作なんだけど、振付自体は凡庸な気がしてしまい、この8人を活かしきれているのだろうかとちょっと勿体ないような。

とはいえ見応えがなかったわけでもなく、マチューとジェルマンのユニゾンは貴重なものを!みたいな気持ちに。パリオペの王子2人の踊りを並べて見られる贅沢。8人それぞれ個性がありみんなが一度に踊るとそれがよく見られておもしろい。

作品全体的にダンサーたちの美しさによって成り立っていて、振付や演出の力の割合ってどれくらいかなとも考えてしまった。

 

ペッシュによるエトワール・ガラが毎度レベルの高い内容だったので、その後継にあたるとも言えるル・グラン・ガラがヌレエフからコンテまで中身の濃いガラでよかったよね。人数は少なめでもこれだけ満足度の高い公演が出来るのはさすが。今後にも期待。

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