アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座バレエ団日本ツアー2020『オネーギン』その2

Ballet de l'Opéra national de Paris Tournée au Japon 2020

≪Onéguine≫

Eugène Onéguine : Hugo Marchand

Tatiana : Dorothée Gilbert

Lenski : Paul Marque

Olga : Naïs Duboscq

Le Prince Grémine : Audric Bezard

 

2020年3月6日19時

『オネーギン』2日目のキャストはユーゴ・マルシャンとドロテ・ジルベール

満を持して日本公演初登場のポール・マルクがレンスキー、オリガは若手ナイース・デュボスク。

 

マチュー・アマンディーヌのペアとこんなにも違うんだなと、本当にエトワールたちは凄いね。特にユーゴはまだ若いのにオネーギン役を踊る。ユーゴオネーギンは登場の時からもう、傲慢さと冷酷さに満ち満ちていて、あからさまに”田舎者”を見下している。じゃあなぜタチアナが恋に落ちるかと言えば、鏡に映ったこと、本を読んで思い描いていたような”別世界”の人物に憧れたから、だろうか。最初のオネーギンソロからのタチアナとのデュエットも、しょーがねーな、ちょっと相手してやるか、という感じ。手紙を破るのも、悪気一切なしの冷酷さ。煩わせやがって、と。内気なドロテタチアナの心砕かれる様、かわいそうでならない。

 

今日のオリガとレンスキーもよかった。ナイースのオリガはちょっと知的にも見えて、ポール・マルクのレンスキーは素直でいい奴。だからこそ一直線に決闘を申し込んでしまうのだが、その直後の後悔。オネーギンなんかが来たために若い2人の人生があっという間に狂ってしまった…。

 

2幕最後のドロテの睨みが凄かった。怖い。ドロテタチアナは強い。

 

1幕の嫌な奴っぷり満載のオネーギンと枯れた3幕のギャップを、26歳のユーゴが演じるというのがなんとも恐ろしい。(褒めてる)完全に立場が逆転したオネーギンとタチアナ。ドロテの強いタチアナは、あのPDDの前から、これはなびかないな、とわかる。と思いきや、激しく情熱的な気持ちが湧いてくるのだが、でもやっぱりなびかない。いやー、女優だ。

 

でもさ、オドリックの超紳士で優しいグレーミン公爵から心から大切にされ愛されてるとその前の場面でわかるので、そりゃそーだよ!グレーミンだよ!となった。(笑)

 

長いカーテンコールと、コールドも含めたダンサーさんたちの誇らしげな様子に、いつも以上の感謝をしたくなる。こんな時にこそ、これほどの舞台を観られて、どんなにしあわせなことか。

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