アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ル・グラン・ガラ2023〈Aプロ〉

2つに分けずに一緒にやればいいのにと思ってきたが、いざ観ると、それぞれのガラのコンセプトがこれだけ違うのだから別だよね、ってなった。(先週のオペラ座ガラとのこと)

le-grand-gala.com

 

このガラはペッシュ座長のエトワール・ガラの流れを汲んでいると思うのだけど、なんといってもベテランエトワールたち(フォーゲルとオドリック含む)の見事さよなあ。ダンサーの存在そのものが宝物。

 

レオノールとマチューのウヴェ・ショルツ『ソナタ』なんて美しい。並んで歩く、その揃った脚の一歩がすでに尊い。この2人のコンテ以前も見てるけどいいよね。ベテランマチューの美の極みと、フレンチスタイルで揃うレオノール。美美。

 

アマンディーヌとフォーゲルの『オネーギン』鏡のPDDは演目変更で入って楽しみにしてたやつ!フォーゲル鉄板のオネーギン、怪しげな美しさと見事な身体能力、サポート。アマンディーヌとの組み合わせは互いの身体能力が活かされてとても良かった。やっぱりアマンディーヌ好き。

 

リュドミラとオドリックの『カルメン』はリュドミラの脚に視線釘付け。バレエとはこういう脚を持っている人のためよね!とか思いながら。オドリックの濃さとリュドミラの脚の強さ美しさで満足。リュドミラのことが改めて好きになった。

 

ドロテとユーゴの『ル・パルク』、これは、人気のPDDですけれども、今回私は全く乗れなかった。ドロテとユーゴは当人たちが好きで組んでいるのでそこに口を挟む余地はないのだけど、あまり感動したことがない。なぜなんだろうと毎度考える。今日のルパルクも、なんだろうな、見え方の意識というか、作品への陶酔とは違うものを感じる。難しいよね、客観性を失うほど役に没頭するのもダメだし、役や作品そっちのけで自らの美しさのみを追求するのもダメだし。

これを踊れるダンサーが他に何人も参加しているだけに、他の組み合わせに思いを馳せてしまった。

 

アマンディーヌとオドリックで『白鳥の湖』二幕、これを観るとオペラ座のエトワールたるものやはりこういうのを見せてくれないと!という気持ちになる。私がアマンディーヌのことを好きだからというのもあるけど、実力と経験を兼ね備えてオペラ座の名を背負ってきたエトワールの力だと思う。オドリックはエトワール枠でいいです。

 

レオノールとフォーゲル『3つのグノシエンヌ』、フォーゲルはパリオペ組との相性がいいようで全く違和感なくエトワールたちと組んでいる。身長があってサポートに不安が全然ないのが観ていても安心感あるし、それは一緒に踊る側からしてもきっとそうなんだろう。そしてフォーゲル全然年齢を感じさせないんだけど何食べてるんだろう。(笑)

 

リュドミラとマチューの『ダイヤモンド』はもうね!エトワールとは!こういうものです!という体現。宝石が2人。今回本当にリュドミラが素敵で、彼女も引退までそれほど残っていないと思うのだけど、来年の来日公演にはぜひともぜひともリュドミラも来てほしいと切に願う。

 

ラコットへのオマージュとして『赤と黒』寝室のPDDをドロテとユーゴ。パリでの初演時も評判はイマイチだったように記憶しているけど、このPDDも、そうねえ、オネーギンや椿姫のように踊り継がれていくかどうか。どうでしょう。

 

さて若手。『海賊』『サタネラ』をビアンカ・スクダモアとトマ・ドキール。トマの脚のきれいさはよかった!派手ではないが大事。演目のせいかもしれないけど、期待の若手感はあんまりなかったかなあ。トマにはもうちょっと個性を出せる演目をあげてほしかった。

クララ・ムーセーニュと二コラ・ディ・ヴィコはまだ本当に若く、というか若干生徒感があり、『ドンキ』のGPDDのようなテクニックで盛り上げるものしかまだ踊りようがなさそうである。

この二組以外とエトワール勢との落差がちょっと大きすぎるように感じた。”期待の若手”枠はあってほしいけど、例えばかつてのジェルマンやユーゴがスジェの時に参加したような、おおっ!っていう発見とはならなかったかなー。

でもまあ、今後を見守ろう。(何様だ)

 

Bプロにつづく。

 

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