アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ル・グラン・ガラ2023〈Bプロ〉

Bプロ、まさかのガラで泣きました。

le-grand-gala.com

 

8/2にAプロBプロをマチソワだったので、体力大丈夫かな(私の)と思ってたけど、今回良席だったこともあってストレスなく集中して観られた。

 

レオノールとトマ・ドキールの『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』。これは先週のオペラ座ガラではハナさんとジェルマンが踊ったやつ。私はレオノールのフレンチ風味が好きで、ハナさんのはバタバタしてたように感じたけど、どうでしょう。レオノールは、彼女の売りではないにしても”テクニックの見せ場”が危ういことがあるので(そこ突っ込まれるので)そこは今後に期待。トマにジェルマンみたいなキラキラはないけど、Aプロよりよかったと思う。脚きれい大事。

 

さてここから、怒涛の濃厚プログラムが。

 

『マノン』出会いのPDDをドロテとユーゴ。ユーゴのソロから入るのでなかなかの見応え。しかし真の感動はリュドミラとフォーゲルによる寝室のPDD。これは素晴らしかった!なんだろうこの、理屈抜きに心打ちぬかれるみたいなのは。泣いた。心震えずにはいられない素晴らしいパフォーマンスだった。リュドミラのマノン、大人の魅力と知性と強さがあって、踊りは軽々と正確でありつつ感情があって、なんかもう不満の余地がない。フォーゲルのデグリューの妖しい美しさもリュドミラマノンとバランスがよかったんだと思う。ベテランの凄さよ!フォーゲル、毎度違うパートナーと組んでいるのに毎度見事なパートナーシップなんだよね。素晴らしすぎる。

 

会場がめちゃくちゃ盛り上がった後のフォーサイス『イン・ザ・ミドル』ビアンカとオドリック。無機質でピリッとした作品、こちらの方がビアンカはよかったかな。フォーサイスなら『Blake works』でもパリオペの魅力が出るじゃないかと思うが色々事情があるんだろう。

 

そして前半のトリ、『オネーギン』手紙のPDDをアマンディーヌとマチュー。もうねえ、これは、全幕を観た気持ちになったよ。我ながらびっくりした。今の彼らのオネーギン、しかも年齢を重ねたオネーギンを今のマチューが選んで演じる意味と価値。泣いた。長年オペラ座を背負ってきたマチューの、今の姿。現在到達している地点。残り少なくなったマチューの現役の姿をしかと記憶に残さなくては。

 

なんて濃いんだよBプロ!

となったところで休憩挟んで若手の『パリの炎』、なぜ今これを見せられているのかと考えてしまった。

 

ビアンカとトマでマクミランの『コンチェルト』、この二人はこれが一番よかった!

 

ジル・イゾアールがリュドミラとマチューのために振り付けた『ヴィヴァルディ・パ・ド・ドゥ』。これみよがしなところが全くないのに、目が離せない。何よりこの二人の現在が素晴らしいので、その素晴らしさを称えるために振り付けたんだろうなと感じる。シンクロすると美が二乗。ああ。こういう日本初演はうれしいよね。

 

レオノールとフォーゲルでゲッケの『悪夢』。こういう作品に挑戦するのが新世代エトワールだよなと思う。個人的にはゲッケの作品てあまり好みではないのだけど、コンテも踊るから古典にも活きるというのがあると思うし、現代に求められているのはそういうダンサー。レオノールの白鳥を観て感じたことだけど、彼女はきっと新しいヌレエフを踊っていくと思うな。

 

公演プログラムにアマンディーヌが、今回一番楽しみにしているのがオドリックと踊る『椿姫』、きっと彼と踊る最後の椿姫になるからと書いており、それを読んでたからなんかもう最初からうるうるしそうだった。オドリックはエトワールにはならなかったけど、パートナーとしてはそういうの関係ないんだろうな。来日公演では主役に配役されることはないだろうから、今回オドリックのアルマンを観られて本当によかったな。きっとマチューの計らいもあったことだろう。

 

最後は『マイヤリング』をドロテとユーゴで。パリオペのレパートリーに入ったばかりの作品を入れてくれたのはうれしい。しかしこのペアで感動できない私としては、なんとも複雑な気持ちになったのであった。違うパートナーと踊らなくていいの?何か可能性を狭めてない?みたいな余計なお世話まで浮かんでしまった。ドロテの引退まで、これを継続するんだろうか。なんか心配。

 

というわけで、全体として見ると満足して帰宅。先週のオペラ座ガラとは濃度があまりに違い、先週は先週で満足してたはずなのになんだったんだ!?という気もする。(笑)

 

オペラ座だけが持つ魅力を感じさせたオペラ座ガラと、ベテランエトワールの魅力と実力がさく裂したル・グラン・ガラ。パリオペのベテランエトワールたちから放たれるオーラ、最高。

こういう全く違うコンセプトを持ったガラを続けて2つ4プログラム観られたというのは、改善してほしいところもあるけども、それはそれで貴重であった。

 

ああー、おわっちゃったーー。

 

f:id:cocoirodouce:20230805095259j:image