ひさしぶりに映画館へ。観たのはこちら。
キューバ危機。核を持つアメリカとソ連が、一歩間違えば核戦争を始めていたかもしれないという緊張感に包まれていた時代の話。
ソ連の高官アレックスは平和を願い、戦争を回避させるためにアメリカに情報を流している。
CIAやMI6がソ連に対する情報戦を繰り広げていた、というのならまあそうだろうねとなるところだけど、スパイでもなんでもないイギリス人セールスマンのグレヴィルが、アレックスからの情報を運ぶという大きな役目を果たしていたという実話をもとにしている。
当時の緊迫した空気というのは、なんとなく思っていたのよりももっと一般人にとって身近なものだったのかもしれない。
ソ連の核が発射されたら猶予は4分間。その間にシェルターに隠れましょうというのが広く宣伝されていた模様。
とはいえごくありふれたセールスマン、グレヴィルからしたら政治や冷戦などは特に気にしていなかった様子。それなのに、自分とは無関係だったはずの東西冷戦や核開発、情報戦が自分事になっていく変化を、カンバーバッチは演じている。
一番心動かされたのが、半年ぶりに再会した妻との会話の場面。
人間としての尊厳、強さ、信念。プロのスパイでもなんでもなかったのに、善の人の強さを見た。
ところでソ連と言えばバレエですよね。
ボリショイにバレエを観に行くシーンが印象深い。
「白鳥の湖」のラストの場面。それを食い入るように見つめるアレックスとグレヴィル。あの世で結ばれるオデットとジークフリート。感動して涙する二人。
意味深である。
ちなみに映画の中の「白鳥の湖」はイングリッシュ・ナショナル・バレエで王子はイサック・エルナンデス、オデットはわからなかった。
冷戦、政治、核兵器、世界大戦、などとなると、自分には何もできない、無力な個人には何もできない、自分の問題ではない、と無関心になってしまいがちなところだけど、でもそうじゃなくて、無力な個人ひとりひとりの力が実は大きな違いを生むのだと、そういうことも考えさせられる。今のこの現代だって。
さて、明日10月1日から映画館も100%チケット売れるようになるんだよね。
前後左右空席なのは安心だし快適だったけど、ずっとそういうわけにもいかないもんね…。映画館にはがんばってほしいし。気を付けながら通おう。