アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

【東京】歌舞伎座團菊祭≪京鹿子娘道成寺≫

今年の團菊祭は丑之助襲名が話題ということで、夜の部幕見に並んで観てきたよ。

團菊祭五月大歌舞伎 | 歌舞伎座 | 歌舞伎美人(かぶきびと)

 

ほんと最近は外国人観光客率が高い。普通にチケットを買うと歌舞伎は長いので(4時間半も座ってるの辛い)、時間に限りがある観光客には幕見いいよね。最近はあまり長時間並ばなくても買えるようだし。


私のお目当ては三番目の京鹿子娘道成寺

 

二、絵本牛若丸(えほんうしわかまる)
七代目尾上丑之助初舞台

わずか5歳の牛若丸、台詞もちゃんと言えてるし、立ち回りも結構長い。よく覚えたよね〜。ワイヤーワークならぬ黒子ワークによる大立ち回りウケた。両脇に並ぶ人間国宝の祖父2人。恵まれていると同時に、この先大変だ。

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宮崎駿監督による祝幕

 

三、京鹿子娘道成寺(きょうかのこむすめどうじょうじ)
道行より鐘入りまで

個人的メイン演目、菊之助白拍子花子。足袋を履いたつま先が着物の裾から見え隠れ。バレエとは全く違う形式だけど、つま先までの繊細な表現。(バレエの影響で歌舞伎でも踊りの見方が変わってきた私)各パートの踊り分け、演じ分け、そして長い演目ゆえに体力も必要だし、技量と体力のバランスが取れている時期ならではの見応えがあると思うとバレエと一緒だよね。

顔の表情筋を大きく使うような表現はしない代わりに、何が花子の感情の変化を物語るのか。そしてそれを読み取るには訓練が必要なのだろうか、といったことを考えながら。最後のパートの豹変っぷりが好き過ぎてもう一回観たい。

 

追記:2度目の道成寺、観に行った。序盤の、花道から扇子で鐘を指すところでさっそくゾクッとしてしまった。終始オペラグラスでガン見。

たまたま目にしたどなたかの感想で、ある大御所(好みじゃないから私は見に行ったことない人)の道成寺は「怨念」が前面に出たものだったが菊之助の解釈はもっと現代的、といったことを書かれていて、なるほどと膝を打つ思いだった。その大御所の役者さんのは時代的にも「ジメジメとした女の恨み」だったんだろうなあと。想像だけど。

菊之助の花子は一見淡泊に見えるけど、私にはそこがいいんだな。イメージ上の「女」の過剰な表現は不要であり、踊りそのもの、役者の存在そのものが花子を表現する。

何年か前にみた玉三郎さんとの二人道成寺も息をのむものがあったけれど、今回のはまた別の素晴らしさがあった。

 

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