アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

【再び】英国ロイヤルバレエ団『ロミオとジュリエット』in シネマ(2018/2019)

収録された公演映像を観に二度映画館に行くことになるとは思ってなかった。

 

同じ作品を複数回観に行くと言うと「え?同じのを?」と驚かれることがあって、同じ作品でもキャストが違えば別物になる、たとえ同じキャストでも二度と同じ舞台はない、と返してもあまり納得してもらえないのだけど(笑)、生の舞台ってそういうものなのだよね。

 

今回の場合は、映像は同じでも自分側が違うから。(もはや屁理屈)

 

先日初めてマシュー・ボールとヤスミン・ナグディのロミオとジュリエットを観て、あらたなロミジュリを観た気分になった。今までのと別ジャンル、は言い過ぎだけど、これほど演劇とバレエが一体化していると感じたことはなかった。私はもともとパリオペから見始めてヌレエフ版に慣れていたから、ロイヤルのマクミラン版は2015年のライブビューイングでサラ・ラムとスティーヴン・マックレーのを観た時、ずいぶん違うものだなあと驚いた記憶。

 

今回のマシューとヤスミンでいたく感動したので、順番違うけど後からロイヤルのサイトでリハーサル映像などを振り返りチェックしていたのだ。

これはまだ公演まで期間があるタイミング(3月)のいくつかのリハーサルが見られるのだけど、ちょっとびっくりしたのよね、完成度が違いすぎて(別キャストだけど)。こういうところからあの本番のレベルまで作り上げていくのだなあと。パリスとジュリエットのPDDのコーチにエドワード・ワトソンがいるのも嬉しい驚き。

 

そしてこちらは2015年のリハーサル。サラジュリエットと平野パリス。

サラジュリエット好きだーーー。このパリスとジュリエットのPDD、曲も振付も好きなので何度も観てたのよね。場面としては微妙なんだけど。

 

そしてこちらがマシューとヤスミンのバルコニーPDD。

素晴らしかった。特にマシューロミオの表現が衝撃的に良かった。これ2度目に映画館で観た時はこの人生で最高の瞬間が終わってしまった!!!と超切なかった。

 

そして寝室のPDD。

 

シネマ上映にも入ってたマクミラン版ロミジュリの魅力語り。

 

マシューロミオとギャリ―ティボルトのバトルの迫真ぷりも素晴らしく、ロミオの怒りと悲しみの沸騰、”本気で”殺りに向かっていく様も凄い。

youtu.be

 

と、ずいぶんマシューに入れ込んでしまい、シェルカウイのMEDUSAのリハまでさかのぼる。

 

こうしていろんなダンサーの中でのマシュー・ボールを見ていると、スターになるダンサーというのは、

 

"READY."

 

となる時が来るのだなあと思った。身体とテクニックがある点まで到達し、内面の成長と充実と自信が揃った時、様々な作品や振付家に適応し花開かせることができるアーティストになる。まさにその時を目の当たりにした気がした。

 

それから若いマシューとヤスミンのペアを指導してるコーチが彼らの踊りがより磨かれるためには?と聞かれて、

 

“I love them.”

”They need to be loved.”

 

と言ってたのも印象的。才能は放って置いても育つというものではなく、大事に愛されて花開く。

これダンサーでなくても人間みんなに言えるかも。

 

ロイヤルはこれほどいろんな動画を公式があげてくれていて本当にありがたい。作品への理解も深まるし、ダンサーもより知ることができる。

 

パリオペもがんばってくれ。(切実)