アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ロイヤルバレエ・ガラ2022(Aプロ)

Aプロ行ってきた。

概要/英国ロイヤル・バレエ ガラ/2022/NBS公演一覧/NBS日本舞台芸術振興会

 

結論から言うと、サラとエドが尊すぎた。はぁ。。溜息。

キャスト変更でエドが来ることになってチケットを買った私、サラとエドがマクレガー作品を踊る(音楽リヒター)というこれ以上ない組み合わせが実現してしまった。引退しているエド、来日してくれてありがとう。エドをキャストに入れてくれた人ありがとう。

 

でね、ガラって、やっぱり演目選びが超重要だなーと思うのだ。今回のロイヤルのガラ、うんうんさすがロイヤルらしい、と納得のものと、逆に微妙なものと、ガラらしく盛り上がる定番ものとあった。

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いいなと思ったのを上げてみる。

サラのジゼル。舞台上にいるだけでうるうるしてしまった。私はサラのあの神々しさが好み過ぎてさっそく視界が曇りそうだった。サンベくんのリフトもいいのかサラの浮遊感がすごい。音がしない。女神。

 

茜さんとキャンベルさんの「ロミオとジュリエット」バルコニーPDD、これもよかった。このPDDはいろんなペアで見ているがどのペアも納得感ある。私もロイヤルらしさに見慣れてきた。(笑)

 

サラと平野さんの「コンチェルト」PDD。ロイヤルというと演劇的な作品が得意なイメージだけど、サラに関してはこういう無機質なやつも超似合う。(好みにダンサーだからとも言えるけど)

 

フランチェスカとキャンベルさんの「マノン」寝室、これもよかった。かわいい!生き生き!という系。と同時に何年前かの世界バレエフェスで見たオレリーとエルヴェのが脳裏によみがえった。全然違う、違っていいのだ。

 

さて、サラとエドの「インフラ」PDD。この二人が並んで立っているだけどもう私の涙腺は。なんて特別なダンサーだろうエド。見てる回数はそんなに多くないと思うんだけど、なぜこんなにも心を揺さぶるんだろうか。特別な脚、特別な身体、精神性の表れ。

 

ラストの「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」は、ネラ様が余裕ありすぎ身体能力高すぎで思わず笑っちゃうほどだった。いやー、すごいわ。

 

サラ、エド、ネラと、結局私はベテランダンサー好きってことかな。(笑)

 

一言あえて付け加えたいのは、なんで「ル・パルク」やろうと思った?パリオペ至上主義の私なのでファンの人には申し訳ないけど、"違う、そうじゃない感”が半端なかった。”Abandon”は有名なPDDだし人気もあるんだろうけど、あそこだけ練習しても作品にはならないと思う。そしてあの作品は、振付以外がもたらす”何か”の割合が大きい。そうんじゃないんだよ。。となってしまう。あのなんとも言えない雰囲気は、あそこだけ練習しても得られないのではないか…。いや、ほんと個人的好みですまないが。

 

アマンディーヌとフロリアン

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アリス・ルナヴァンが語るLe Parc.

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ロイヤルなのにパリオペ動画ばかりでデゾレ。(笑)

 

それにしてもあらためて一流ダンサーの皆さんたち超人だな!!感嘆。身体が芸術品。

来日してくれてありがとう。最終日までどうかご無事で。

 

※やっぱり微妙だと思ったことも含めてメモっておこうと思って追記。

フランチェスカコラレスの「明日」はコロナ禍でマクレガーが作った作品だったと思うが、これは私が求めるマクレガーらしさとは違う系で、そこまで心動かされないのよね。コロナ禍という背景を考えると思うところはあるにせよ。

 

「ジゼル」はサラのジゼルばかり見てしまったのだが、アルブレヒト役はやはりノーブルな王子を見たいなと思ってしまうところはある。サンベくんのような人がアルブレヒトを踊るのもロイヤルの懐の深さというか、許容範囲の広さというかで、長所とも言えるとは思うのだけども。

 

「ル・パルク」に関してはすでに書いたけど、踊り始める前、動き出す前からもう「違う」となってしまうレベルで違うので、わざわざお金を払ってもう一度見たいとは思えない…。ダンサーがまとっている雰囲気もだけど、振付そのものを見ても、いや違うよね?ってなるレベル。

 

「アポロ」は生で見るの久しぶり。ネラ様を映えさせる平野さん。もうちょっと濃くてもいいと思った。

 

「白鳥」2幕は、ずいぶん野生味な白鳥だな!っと出てきた瞬間になったんだけど、日本人ぽかったので高田茜さんなのかと思ってたのね。(顔の識別力が低い…)それにしてはなんだかずいぶん荒々しいというかなんというか…と思ってたんだけど、続くロミジュリで本物の高田茜さんが出てきて(!!)さっきの誰!?となり、佐々木万理子さんだったという…識別力…。ガラで見るには、レベル的なのか経験値なのか、まだちょっと難しいと思う。がんばってるね!っていうのをお金払って見に行ってるわけじゃないので。

 

「マノン」のフランチェスカはキラキラしててかわいいなと思ったんだけど、キャンベルさんは、「ジゼル」のサンベくんと同様の感想になるんだけど、”ロイヤルの多様性”ということで自分を納得させているところがある。美しいラインを愛でてしまう自分と、そうではない良さもあるはずだ、と受け入れようとする自分の葛藤というか。

 

「精霊の踊り」のブレイスウェルは、ピンとこなかったな…ロイヤルとしては”売り出し中”の新プリンシパルなんだと思うけど。ガラでソロって厳しいよね。

 

「海賊」のヤスミンとコラレス、これはガラらしく盛り上がる演目で、特にコラレスが張り切ってて楽しませてくれた。ヤスミンも「ル・パルク」がイマイチ過ぎたので、こういう定番でちゃんと見せてくれたのはよかった。

 

「ジュエルズ」ルビーはまず衣装に目が点というか、パリオペととても違うのでびっくりした。テカテカで、音もするし。

 

「インフラ」はエドとサラをもっともっと長く見ていたくて、あまりに短すぎた。。もっと見せて。。

 

チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」はネラ様が圧巻だったんだけど、リースくんは凡庸。背が高いからどうしてももっさり見えてしまうし、足首!つま先!とかつい気になっちゃうのよね、すいませんね、パリオペ至上主義なもので。リース君は「ル・パルク」も微妙すぎたので、本当になんというか、もうちょっと魅力が映える作品で登場してもらえると…。

 

私はパリオペからスタートしているため、ロイヤルを見始めた頃はびっくりしまくりというか、こんなにも違うのか!となったのだけど、パリオペ的基準だけがバレエではないし、パリオペ的な身体条件だけが美しいというわけでもない、カンパニーの個性というのがそれぞれにある、ということを知り、受け入れていく連続だったのね。バレエにおける演劇性、演出も含めて、というのはロイヤルさすがの歴史と思うし。

 

とはいえ今でもパリオペ的美しさをどうしても求めてしまう自分がいるし、それ以外に厳しい自分は狭量だなあとも思う。きっとみんなそれぞれそういう基準やカンパニーやダンサーがあるのだと思う。

 

ああ、長くなった。