アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

『パリ・オペラ座ダンスの饗宴』inシネマ

バレエの舞台を映画館で観る、パリ・オペラ座版。

 

ロイヤルとボリショイのライブビューイングが日本でもある程度定着しているのに対して、パリオペは昔はやってたけどなくなっちゃったよね?最新舞台の中継ではないけど、先日の来日公演の余韻もあり、観てきた。

 

『パリ・オペラ座ダンスの饗宴』

 

『デフィレ』、『エチュード』、『くるみ割り人形』ハイライトからなる2時間半。デフィレとエチュードは2014/15シーズンのものなので、デフィレで登場するエトワール、プルミエたちの多くがすでに引退していて、5シーズンでこれほど顔ぶれが変わるんだなあと、時の流れを感じる。逆に今やエトワール、ソリストになったダンサーたちの若かりし頃を画面上で探す楽しみもあるけど。

 

『デフィレ』は、バレエ学校の生徒からバレエ団エトワールまでがただ歩くだけなのに、なんで感動してしまうのだろう。フランス年金制度改革に伴う昨年12月からのストでも話題になったけど、これほど小さい子供の頃から鍛錬と選抜を重ね、バレエ学校・バレエ団の一員となり、あの場を歩く。その年月と、努力、才能、美の集積に、何度見ても泣いてしまう。

 

エチュード』は自宅のテレビ画面で見ていたら集中力が持たないやつで(笑)、劇場か映画館じゃないとしっかり見られない。エトワールはドロテ・ジルベール、カール・パケット、ジョシュア・オファルト。

なんといってもジョシュアの美しい脚さばきとコントロールに見とれる。ああ、これぞパリオペのつま先、というような。そして若くして引退してしまったジョシュアがかえすがえすも惜しい限り。

一方42歳の引退年齢まで全幕踊っていたカールは、決して理想的な脚を持ってはいるわけではないけど、必ずしもそれが全てではないのだよなあということも考えさせられる。

 

最後は『くるみ割り人形』からの抜粋。クララはまだプルミエだった頃のミリアム・ウルドブラーム。ドロッセルマイヤー/王子はジェレミー・ベランガール。

ミリアムはクララにぴったりで、当時の若いミリアムは子供クララにも全く違和感がない。今でも似合うと思うけど。GPDDでチュチュになって出てきたミリアムの神々しさよ!ほんとチュチュが似合うわーーと思う。クラシックバレエのダンサーとして作り上げてきた身体とテクニック、チュチュとはそれを見せるためにあるのだなあ。

そしてヌレエフ版はほんとに鬼振付でパが細かく複雑で、あれを踊りこなせてこそパリオペエトワール、そのためにバレエ学校時代からの鍛錬がある。というのが、なんとも凄い。

ひさしぶりにくるみ見たせいか、つなぎ方が唐突だったり、そんなのあったっけ?となったり、そして『デフィレ』『エチュード』から何年も前の収録なので、時間軸的に頭が混乱した。子役にジェルマンいたね!

で、一体これは何年の舞台なのかと、あとから調べてみたらどうやら2007年12月上演で、2008年に映像化されているやつっぽい。なのでジェルマンが子役にいることも納得。あの子役がいまやエトワールでミリアムとも踊ってるんだもんねえ。

あとカールのアラブが秀逸なんだけど、これもカールが当時プルミエだったからこその配役で、これで思い出したんだけど私、この時期パリにいて生で観てたわ。すっかり忘れてた。。記憶って儚い。マメに書いて残しておかないと記憶はすぐに薄れてしまう。

 

それにしてもパリオペは映像化、メディア化にもっと力入れてほしい。DVD発売されるのも少なすぎて悲しい。

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そして映画館から銀座シャネルへ。


bijutsutecho.com

 

展示されてる点数はさほど多くはないけど無料で見られてステキ。写真撮影可。

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