残念ながら予定されてた来日公演はキャンセルになってしまったけど、映画の方は予定通り公開。
フラメンコダンサー、ロシオ・モリーナの、パリ・シャイヨ宮での公演に向けた創作のドキュメンタリー。
フラメンコのリズムって私にはとても複雑で、ダンサー・ミュージシャンらのあの身体に染みついた”天性”のもののように思えるのだけど、ロシオは特に特別で、天才と狂気が隣り合わせのよう。彼女のフラメンコはコンテンポラリーであり、アヴァンギャルド。踊らずにはいられない、踊りを通して自分を追い求め表現せずにはいられない、というような彼女の日常が見られる。
ロシオの母親が、娘の舞台を観て泣いてしまう、それは娘を失うような気持ちになるから、と言っていたのが印象的で、それはロシオが踊りに捧げるものがあまりにも大きく、自分の身を削って舞台を創り上げ、創り上げた代わりに自分を失ってしまうのではないかと恐れている、ということなんだけど、なるほどそういう視点で見ていたら、舞台が素晴らしければ素晴らしいほど何かを奪われているような気持ちになるのかもしれないな、と。それほどの没頭。
彼女の舞台、生で観てみたいな。圧倒されたい。
偶然にも、今シャイヨー宮のサイトで過去の公演が無料公開されている。その中にロシオ・モレーナの2013年の『ダンサオーラ』も。