アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

自宅でバレエ鑑賞その3

ボリショイの「マルコ・スパーダ」観た。ピエール・ラコット版なのね。

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非常に古典らしい古典というか、物語は単純で、華やかなダンサーと踊りを楽しむ作品。前半の貴族の時より後半の盗賊の方がより少女マンガっぽい。リアリティ度外視でガンガンに踊りを楽しむというのは、ロシアではありでもヨーロッパではなかなか限られるような気もする。初演はパリオペで、振付もラコットさんだけど。ホールバーグ、オブラスツォーワ、スミルノワら華やか。4/5深夜まで。

 

ウィーン歌劇場バレエ団の「ペールギュント」も観た。

Wiener Staatsoper

すでに視聴期間は終わってしまっていると思うのだけど、これはなかなかのレアものだった。寓話の世界、抽象的、北欧の土着信仰の世界のような。鹿や、なんだそれーっていうような生き物が出てきたり、インパクト大だった。

 

ロイヤルのオペラバレエ「エイシスとガラテア

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2009年の作品らしいけどこの振付がウェイン・マグレガーというのがびっくりした。ヘンデルとマグレガー!ローレン・カスバートンとエドワード・ワトソン。バロックオペラでエドが踊るマグレガーというこの組み合わせ、これまた未知のものを見せてくれてありがとう。オペラに字幕がないのでストーリーはあまり追えないのだけど、音楽の美しさと舞台美術のセンスで踊ってないところも飽きない。最後のエドとオペラ歌手さんのPDD素敵だったー。

 

マリインスキーの「眠れる森の美女」はまもなく4/5深夜から公開。

 

「眠り」多いよね…。(贅沢を言ってはいけない

 

それにしてもこんなに多くのカンパニーが作品をフリーで観る機会をくれて、この先どうやって貢献したらいいかと考えるよね。

ダンサーたちはコンディションを維持するのがさぞかし難しいだろうと思う。

 

先日パリ・オペラ座バレエ団のエトワール、ユーゴ・マルシャンが外出制限下にある現在の生活や心境について述べている記事があった。

「いつでも踊れる準備をしておくことが僕の責任だ」

 

ちょっとだけ訳すと、(抜粋です)

飲んだり食べたり眠ったりするのと同じく、僕には踊ることが必要。

毎日何かしらの目標と希望と満足があるようにと心がけていて、次の日にはまた新たな目標を立てる。そうすることでポジティブでいられるし、気持ちも強くいられる。外出制限が終わった時、自分に新たな何かが加わったと感じると思う。

この困難な時期が終わったら、みんな劇場に行きたいはず。気分を変え、ダンスを観たりコンサートを聴いたり。そういう人たちのためにコンディションを整えておくことが自分の責任だと感じる。できるだけ早く舞台に立ち、できるだけ早く観客が劇場に戻れるように、できるだけ早く新たな夢が見られるように!

 

私はここで泣きました。

 

他にも環境問題などにも言及していたユーゴ。早く今の状況が収束し、ダンサーがスタジオや舞台上に戻れて、観客が劇場に行ける日が来るようにと心底願う。そしてその観点からしても、日本の対策のお粗末さには怒りを感じずにはいられない。

 

こんな時だからなおさら、いつもにも増して私たちの生活にどれほど芸術が必要か。本でも映画でもドラマでも、自分の生活の一部になっている何かが失われ奪われたら。新型コロナは収まっても、元の生活には戻れない。

 

文化芸術やそれを担う人たちを大事にする国であってほしい。