アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

世界バレエフェスティバル2021 Bプロ

Bプロ初日、そして私にとってのバレエフェス最終日。

入口でウレタンマスクの人に不織布マスクを配ってた。そうだよそうだよ、ウレタンは意味ないからね!マスクは飾りじゃないんだから!

 

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BプロはAプロに比べてコンテが多めで、バレエと言っても幅広いよなあとあらためて思ったりしながら観た。

 

アレクサンドロワとラントラートフの「トゥー・ルームズ」、バデネスとフォーゲルの「悪夢」が結構好きだったなー。どちらのペアもAプロとはがらりと雰囲気の違う作品を踊ってくれてよかった。ゴメスはさあ、マシュー版ザ・スワンを踊ってくれていいんだよ!?って思ってしまった(笑)(今マーニーさんも来日中だよね、懐かしいなあ)

 

第三部はフェリとロマンの「椅子」。1作品で30分とは途中飽きたりして…なんて思っててすいませんでした。ベジャール作品を踊る二人。セリフも結構あり、踊りというよりお芝居を観ているような気になったり、しかしじっと動かずとも"何か"を語る二人の姿というのはやはりダンサーであり、歳を重ね人生経験を重ね現在に至るベテランダンサーの姿そのものを見せられ、最後、じんわり泣いた。

凄いなあ。老い、衰え、それらへの恐れや悟り。ジルさんが何歳なのかわからないけど、若さではなく、身体能力でもなく、ダンサーとしての生き様そのものが作品になっているかのようだった。それをさらけ出せるのが凄い。フェリも断然Bプロの方がよかった!

バレエフェスだから見られた舞台だと思うと、この作品を選んでくれてありがとう。

 

菅井さんがシムキンと「グラン・パ・クラシック」、トルーシュと「アイ・ガット・リズム」と全く違う作品で大活躍。個性的なグラン・パで、こういう踊りをするのかあと新鮮。アイ・ガットではあの衣装でポワント!?なさすがのテクニックだった。

 

さてパリオペ組。

アマンディーヌとマチューの「3つのプレリュード」、期待通りの美しさだった。バーを使う1曲目の無機質な感じ、2曲目の濃密な雰囲気、3曲目の爽快感と、役柄なしにもあんなに空気を変えてくるんだもんね。

2019年来日公演「オネーギン」でマチューにとってアマンディーヌは一番背の高いタチアナと言っていたけど(つまり体重もある)、私はアマンディーヌのあの人間らしい身体(驚異的な身体だけど!)が好きなんだよなあ。ミリアムにも言えることなんだけど。バレエは身体表現なので、身体そのものが語ってほしい。もちろんテクニックも重要で必須なんだけど、その先にあるものが見たい。アマンディーヌは身体が雄弁なのよ。ああ全幕もので見たい。

 

ハナとマチアスの「海賊」、これは、うーむ、どうだっただろうか。二人のバランスのやスタイル(踊りのね)からすると、どんな作品がベストなんだろうなあ。

マチアスの野性味感じさせる視線や踊りにはゾクゾクわくわくした。でもマチアスの良さを堪能するのにベストな作品ではないかな。あと、二人のスタイルの不一致(に私には見える)が目立つ気がするのよね。ミリアムとマチアスのあの”一致”を知っているだけにそこが気になる。ガラで「海賊」となると派手にやることが多い演目な気がするけど、パリオペ組はこれみよがしなことしないもんね、奴隷でもエレガントなのだ。(笑)

 

祝・ユーゴ合流!ドロテとユーゴの「ロメオとジュリエット」寝室PDD、これもまた、このPDDがベストの選択だったのだろうかと考えてしまった。休憩をはさんでの1組目で、こちらの心の準備が整ってなかったのかもしれない。バレエフェス参加1公演目で、休憩あけ1組目で、あの濃厚な場面。そしてあっという間に終わる。ユーゴ、踊るのBプロだけだもんね…なんだかなあ…。

 

そういえばAプロはドンキなかった。Bプロのトリはクリサノワとキムの「ドン・キホーテ」GPDD。もうね、フェスですから、最後はバンバン跳んでもらいましょう(笑)お見事でした!盛り上がった!

 

 

感染状況が悪化し続けている中でバレエフェスが開催されていること、そしてそこに出向いていたことに葛藤がある。友人や親子で来場していればどうしてもお喋りもしてしまうだろうし、ウレタンマスクで来ちゃう人もいる。感じてる危機感は本当に様々なんだよね。これでは感染者数を減らすのは難しいだろうなと、正直思った。

 

同時に、出演してくれているダンサーたちには心から感謝しているし、コロナ禍の生活にひと時の幸せをくれるのが生の舞台。開催のためには相当な苦労や制約があっただろうし、楽しそうなダンサーたちの様子にホッともするけど、開催してしまったからには全員が無事で健康でそれぞれのおうちに帰れますようにと、あとは祈るしかない。

 

 (でもやっぱりこんな不安を感じずに楽しめるバレエフェスであってほしかったなあ…)

 

また3年後に。Au revoir.