かれこれ2年も公開が延期になってたんだ、『ナイル殺人事件』。
ケネス・ブラナーのポワロ、前作はびっくりしたんだけど今回は2作目なのでそこまでではなく。ただしアーミー・ハマーが原因の動悸は発生、以前と同じ目では見られない。キャスティング大事。。
従軍していた若きポワロ、塹壕の中、戦闘、爆発、と今のこのご時世に見るとちょっと、昔の話だから、作り話だから、と距離を置くのが難しい。いつどこの戦争にも反対。
ポワロの人生、その後の人格形成に戦争時の体験が大きな影響を与えていたのだということを明確に描いている。そこが他のポワロ作品とは違うところかな。
映像美!との評価をわりと見かけたんだけど、ナイル川クルーズを現地で体験したことがある私としては景色が作り物感ありすぎ!!となった。全部CGなの?もうちょっと自分もナイルを旅しているような気分になりたかったなー。オリエント急行もナイルも、”異国情緒”を味わえるというのが作品の魅力のひとつなのではないかと思うのだが。
アスワン・ハイ・ダムが作られる前の時代の設定なのでアブ・シンベル神殿がナイルの水辺にある。(水没してしまうので高台に移設された)
うろ覚えだけど、死んでまで夫の隣に座らされるなんてごめんだわみたいなセリフがあった気がするんだが、神殿の前面の4体の巨大彫刻はぜーんぶラムセス2世なので夫婦並んではいない。
クリスティの原作からどう変わり、どう変わってないのか未確認だけど、細かいところはちょいちょい気になってしまったな。
なんかこう、後味としては物足りなさがある。映画って映像美や技術はほんの一要素で、深く考えさせられる要素がもうちょっと欲しかった。ま、映画に期待することは人それぞれ。