アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

ハンブルクバレエ団 ≪Ghost Light≫(2020)

youtu.be

Hamburg Ballett John Neumeier - Ghost Light

 

ジョン・ノイマイヤーの世界≫を観たあの夜から、ノイマイヤーの世界のことばかり考えてしまう。当日券もあったしもう一度観たい気持ちはもちろんあったんだけど、私はあの初日の衝撃、悲しみ、尊さを上書きしたくない気持ちが少しだけ勝り、脳内再生をしている。

 

父が亡くなって以来初めて劇場で観たのが「ノイマイヤーの世界」で、生の舞台ってこれほど力をくれるものなのだなと実感したし、ああやっぱりバレエって素晴らしい!と思ったし、それと同時に、84歳にしてあれほどお元気で活き活きとしているノイマイヤーさんの姿を見ると亡くなった父の姿を思い出してしまって悲しくなったり、父の人生はどんなだったのだろうと考えてしまったりしながらも、舞台の上の世界があまりに壮大で美しく、心打たれたのだった。

 

そして「ゴーストライト」のリアブコさんがあまりに尊すぎて視界が曇り、静かに号泣し、癒されたのだと思う。

 

で、会場でも売ってたのに現場では思い至らなかった「ゴーストライト」のDVDを購入して、全体を観た後はノイマイヤーの世界で観たリアブコ/アッツォーニのところと菅井さん/ニコラスのところを何度も何度も観ている。(どちらも音楽が非常にいい!)

 

「ゴーストライト」に限らずノイマイヤーさんの音楽の選択を私はとても信頼していて、「椿姫」にハマった時には使用曲順にプレイリストを作って、持ってなかった曲はアルバム買って全幕の流れ通りに聴けるようにしたりしてたんだけど、ノイマイヤーさんの振付や演出って、音楽を聴けば舞台の上の光景が脳内で自動再生できる一体性があって、ノイマイヤーさんの作品のためにその音楽が存在していたかのような自然さ、必然さがあると思う。

 

「ゴーストライト」で使われてるシューベルトピアノ曲もとても響くものがあり、たまらず2020年の公演時に生でピアノを演奏していたダヴィッド・フレイのアルバムも購入してしまった!だって「ゴーストライト」で使われてる並びそのままに同じピアニストが弾いてるんだもの!(使用音楽:シューベルト(楽興の時 D.780、アレグレット D.915、即興曲 D.899、『幻想』ソナタ D.894)のうち、ソナタ以外収録)

 

このアルバムさえあれば、聴けば脳内でリアブコさんを再生できる…!

音楽の力って凄いよねえ。。

 

ちょうどダヴィドさんインスタにノイマイヤーさんとの写真を載せていた。

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波立った精神状態ながら観に行って本当によかったな、ノイマイヤーの世界。

ノイマイヤーさんのダンスへの思い、献身、作品の数々の見事さにあらためて感動し、こんなに素晴らしい人間が存在するのだなとしみじみ感動してしまう。そしてその世界を体現するダンサーの皆さんも本当に人間の美しさの化身ですよ。中身の伴わない人間にあの舞台は作れない。ある意味恐ろしいところだよね舞台って。

 

まだ油断すると思い出し涙してしまう。でもそれほどのものを体験できたとは、なんという幸せだろう。