アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

Mon crime (私がやりました)

フランソワ・オゾン監督、≪Mon crime≫は女性をメインにしたコメディタッチの作品。

gaga.ne.jp

 

軽妙な台詞が飛び交い、あーオゾンっぽいーという雰囲気。1930年代のフランス、パリとその周辺が舞台で、事件があったのはヌイイの豪邸。建築やインテリア、ファッションもいいよねー。

 

描かれてるのはまだ女性に参政権がなかった時代であり、女性が男性に依存せざるをえなかったり、不当に扱われたり、といった社会背景を踏まえている。なので、作品の雰囲気はコメディっぽいんだけど、含まれているテーマは重くもある。

 

体面を重んじる地位ある男性、偏見や先入観で女性を断罪する権力者、権力をかさに若い女性を好きに操ろうとするプロデューサー、自分の身勝手さに全く無自覚な彼氏、など、現代にもごろごろいそうな男性たち。そしてそれに抵抗し、知性や機転やある種の狡猾さを武器にサバイブする女性たち。少数派だけどまともな男性も出てくるよ。(笑)

 

図らずもユペール様出演作を2本続けてみたわけだが、演じる役柄のふり幅の広さよ!無声映画からトーキーへと時代が移り変わり仕事を失っていったベテラン大女優の役。強烈な個性。

 

フランス映画界は女性の監督も増えたし、俳優と監督の両方をやる人も多い。監督も俳優も、邦画の世界ももっといろんな背景を持つ人がいろんなテーマで作品を作るようになってほしい。なんか毎度同じような予告編見せられてる気がしてね…。

 

しかし、フランスにおいてもいろんな差別や偏見があってそれと戦って来たんだよね。もちろん現在も完璧ではないが、日本とは段階が違うというか、前提が違うというか。でもまあ微力でも戦わねばね。