アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリ・オペラ座バレエ団来日公演2024『白鳥の湖』2/11

最終日、行ってきた。

2月11日(日)13:30
オデット/オディール:パク・セウン 
ジークフリート王子:ジェレミー=ルー・ケール
ロットバルト:ジャック・ガストフ

 

パリ・オペラ座バレエ団2024年日本公演 「白鳥の湖」 2月11日(日)のキャスト/What's New/NBS日本舞台芸術振興会

 

降板したアマンディーヌに代わってパクさんが2度目の登場。王子はプルミエのジェレミー=ルー・ケール。

 

ジェレミーの役作りはちょっと面白い。一幕では彼がどういう王子なのか探りつつ観ていたのだけど、何にも考えてない系かな?となった後、なるほど王子辞めたいのね?となった。彼は良くも悪くも”普通”の人間で、なんで自分はこんな身分に生まれてしまったのだろう、みんなと一緒に踊りたいのに、みたいな。家庭教師との関係も怪しさはなく、監視されているから怯えている。将来王様にもなりたくないし結婚もしたくない。城の外に逃げたい。

 

パクさんの白鳥は今日も美しく、腕も脚も本当に見惚れるレベル。パクさん、ヴァランティーヌ、ハナさんと観てきて2度目のパクさん、やっぱり凄かったし、彼女が外部からパリオペに入りフレンチスタイルを身に着けてエトワールまで登りつめたその努力と才能!素晴らしい。

 

王子と白鳥のやり取りはポールマルクの時とまた違っていて、ダンサーによってこんなに変わるのねえと改めて。若干物足りなく感じたけど、しかしジェレミーにとっては、ポールマルク、ギヨームくん、ジェルマン王子と充実のエトワールたちと比較されることになり、なかなか大変だよね。(観客みんながリピーターではないけども)

ちょいちょい気になる点もあり、ほんとバレエって細かいことの積み重ねや突き詰めることで舞台というのは出来上がっているのだよね。

 

ジャックのロットバルト、ソロとてもよかったなあ。ジャックは一幕最初から不穏な雰囲気を漂わせていてあからさまに王子を操るようなところはなさそうなんだけど、威圧的な空気を漂わせてるからもう、抗えないのよね、結末も見えているのよ。

 

今回の三人のロットバルト、それぞれ全然違うタイプでおもしろかった。私はトマのがタイプかな。美しく冷酷な悪魔系。

 

パクさんはオデットとオディールをわかりやすく演じ分けるのではなく、ある意味で同じように踊っているようにも見える。というのも、王子を騙すにはオデットに似ている必要があるわけで、見るからに別人でしょ!って演じ分けちゃったら話がおかしくなるんだよね、本来は。私が一回目のパクさんの黒鳥で超感動したのは、キャラの演じわけではなく、不純物を取り除いてめちゃくちゃピュアな身体表現のみでオディールを表現しているところにだったのかもしれない。

 

そしてジェレミー王子の、騙されたことが最初は受け入れられず棒立ちになるところ、そしてその後の表現などは、この人はやはり生まれながらの王子というより”普通に生きたい”人なんだなと。

四幕のロットバトルとのバトルも、王子である身分など忘れ、ただの人になってロットバルトに立ち向かい、そして負けた。という風に解釈した。

 

しかし日本ツアーの白鳥の王子にプルミエのジェレミーを配役したのは、どういう意図があったんですかね監督。(ノミネあったらどうしようかと思った)

 

ソリストコールドバレエのことももっとたくさん書きたいんだけど、3日間で4公演、脳が疲れているのでまた思い出しつつ追記しようと思う。

 

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