アートなしには生きられない

バレエ、ダンス、クラシック音楽、美術館などシンガポール・東京でのアート体験を中心に。

パリオペラ座バレエ団 『ラ・バヤデール』≪L'Opéra chez soi≫

泣いたーー。

 

パリオペラ座オンライン中継 ≪L'Opéra chez soi≫ 第一弾、『ラ・バヤデール』。なんと豪華な公演だったことか。(余韻)

 

chezsoi.operadeparis.fr

 

一幕ごとに主役を踊るダンサーが変わることで、エトワールたちがそれぞれいかに濃い個性の持ち主かというのがよくわかる。そして同じ作品をキャスト違いで観る意味、楽しみも伝わったのではないか。

 

一幕はニキヤがドロテ・ジルベールソロルがジェルマン・ルーヴェ、ガムザッティはレオノール・ボラック。

リハーサル映像で見る限りではドロテのニキヤがあまりに強いので、ガムザッティ太刀打ちできずにお話成り立たなくない?なんて気もしてたんだけど、本番は違った。ジェルマンの美しいソロルは戦士というより王子の気配が感じられるので、ドロテのニキヤはバランスとして強すぎるのではないか、貫禄ありすぎではないか、とやっぱりちょっと思う。しかしレオノールのガムザッティが良かった!気品ある悪女っぷりが似合ってたし、演技がとてもいい。(一幕のガムザッティは踊らないもんね)

 

二幕はアマンディーヌ・アルビッソンのニキヤ、ユーゴ・マルシャンのソロル、ヴァランティーヌ・コラサントのガムザッティ。

このキャストもとても楽しみにしていて、実際素晴らしかった!三人三様に素晴らしいのだけど、アマンディーヌにはまたしてもやられた。アマンディーヌニキヤが登場して2秒後にはもう、あああぁぁってなってた。あれを見たら罪悪感に襲われずにはいられないだろうソロル…という。なんだろうねアマンディーヌのあの内からこぼれ出るかのような表現。悲しみでいっぱいの前半から、一転して現実逃避したかのような、いや現実を拒絶したかのようなニキヤ。そしてめっちゃ後悔しまくっているユーゴソロル。濃密な二幕。

二幕は主役以外にも見どころが満載。ストーリーとは関係のない踊りが続くと退屈してしまうこともあるんだけど、パリオペではそこかしこが「さすが!」となり退屈する暇がない。

 

この幕間では、パリオペラ座の底力を見たような気持ちになり感動で打ち震えてしまった。その上さらに三幕ではミリアムとマチアスが登場する!

 

三幕、ミリアム・ウルドブラームのニキヤとマチアス・エイマンのソロル

冒頭のソロルでさっそく泣いてしまった。マチアスが踊っている、そのことですでに泣いてしまう。ヌレエフを見事に踊りこなすテクニックと美しいライン。端正な踊りと佇まい。なんて特別なダンサーだろう。

そしてミリアム。神々しい。ミリアムの踊りが映像として残って本当によかった。三幕にミリアムというのも大正解でさすがオレリーよくわかってる!(もちろん全幕見たいけど)このミリアムとマチアスという奇跡的に神々しいペアによる幻想の世界。この世のものではない、文字通りそうで、極め超越した存在。なんて尊い。。。

 

三幕はその大半を泣きながら見ていた気がする。そして、はあー終わっちゃったーーとなったところに舞台上に誰か出てきた!え、中継してるから挨拶?なんて思ってるうちに「ポール・マルクをエトワールに任命します」と!!!びっくりして叫んでしまったよ。(真夜中)

まさかこの1回限りのオンライン中継の公演でしかもブロンズ・アイドル役でのエトワール任命!

ポール・マルクはいずれエトワールになるんだろうと思ってたけど(昨今の配役のされ方などもね)、まさかそれがこの公演でとは。たくさんの観客や家族や親しい人に囲まれての任命が理想的なのかもしれないけど、オンライン中継で世界中のパリオペファンに見守られ、映像にも残って、ある意味とても2020年らしい任命と言えるのでは。

彼の踊りはとてもエレガントで美しくパリオペらしい。一方でエトワールとしては華がもう少し、でもあったと思う。この任命が自信と華を与えてさらに輝くんじゃないだろうか。まだ23歳と若いエトワールの誕生。Félicitations Paul !!🌟

 

濃厚な本編に加えて最後にとっても大きなサプライズまであって、なんと豪華な3時間だったことか。11.90€、安すぎ!!

 

7日間観られるのでいっぱい見ようっと。

 

パリオペラ座ストリーミングサービス ≪L'Opéra chez soi≫

新型コロナ対策のため劇場や映画館の閉鎖の延長が発表されてしまったフランス。12/15から再開できるかもという希望も打ち砕かれ、パリオペラ座も年内の公演は全てキャンセルに。ああ。。。

 

ベテランダンサーたちにとってのこの1年を思うと特別に胸が痛い。本来ならさ、12月のこの時期ってガルニエとバスチーユの2劇場フル回転で、大忙しの季節なのにね。。まあ去年も大規模ストで舞台なかったんだけど。パリまで行って1公演も観られなかったもんね。。まったくなんて1年だよ(涙)

 

長引く劇場閉鎖で、ついにパリオペラ座もインターネット配信のオリジナルプラットフォームを開設。12月13日には『ラ・バヤデール』のライブ中継を予定している。

 

chezsoi.operadeparis.fr

 

現地14時30分開演のマチネなので、日本時間だとソワレですね。(22時30分)

フランス国外からも視聴可能とのこと。11.90€で7日間観られる。

 

インスタではクリスマスまで毎日ラ・バヤデールのリハーサル映像が少しずつアップされてるのでこちらも楽しみ。

https://www.instagram.com/balletoperadeparis/

 

≪L'Opéra chez soi≫には過去の公演も何本かすでに上がってて、バレエでは白鳥、ドンキ、マノン、ノイマイヤーのマーラー3番、ケースマイケル、パイトらコンテ4作、バレエ学校公演、などがレンタルで観られる。もちろんオペラ、コンサートの公演もあり。

  

chezsoi.operadeparis.fr

クリスタル・パイトの≪The Seasons' Canon≫があるから、これ何度も観てるけど借りてしまいそう。需要があることを知ってほしい。(笑)

 

バレエはいまのところ未見のものはないのだけど(medici.tvでもほぼ観られる)、これから追加されたりするのだろうか。ぜひ追加してほしい。

 

そして13日の『ラ・バヤデール』中継に関しては、ミリアムとステファンが入ってないのがあまりにも悲し過ぎるので、ミリアム/ステファンで全幕収録してオンラインで売ってほしい!!買う!!いくらでも出す!!(すいませんやっぱり上限はあるけど)

 

ロイヤルほどオンラインに熱心ではないパリオペだけど、こんなご時世になってしまったからにはここで一気に、ぜひとも積極的に配信に取り組んでほしいな。

 

だっていつになったら気兼ねなくパリに行けるようになるかわからないし、何よりダンサーの現役としての年月は限りあり、劇場が開かなくても過ぎていく。。それがとにかく辛い。ミリアムやステファンのような円熟の舞台が観客や若手ダンサーたちの目に触れることなく失われていくなんて、あまりにも辛い。辛すぎる。

 

 

ちなみに余計なお世話だけど ≪L'Opéra chez soi≫ はカタカナで書くなら「ロペラ シェ ソワ」、At Homeってことです。

 

Deux moi(パリのどこかで、あなたと)

セドリック・クラピッシュ監督の≪Deux moi≫が公開。

 

映画『パリのどこかで、あなたと』公式サイト

 

フランスでの公開が2019年9月だったようなので1年遅れ。もちろん、コロナ前。パリの景色、かつての日常の風景。ああ、前はそうだったよね…という郷愁が湧いてきた。

マスクなしでメトロやRERに乗る人々、素手で無造作につかまる電車のポール。こういう映画、次に作れるのはいつになるのかしら。

 

さて本題。メラニーとレミは隣り合う別のアパルトマンの住人で、路上や近所の店ですれ違うことはあっても顔見知りですらない。それぞれ悩みやストレスを抱え、都会での一人暮らしをしている。

2人の人物像が、特別でなく、すごくいそうなサンパな若者。この特別じゃない感じがよかった。感情を強く揺さぶられるような劇的なことは起きない。それぞれの日々がそれぞれに描かれる。それぞれが胸の奥底に抱えてた重荷を乗り越えた先に、というストーリー。なんというか、みんなが多かれ少なかれそういうのあるよね、と思えるというか。自分の中の暗い面も、向き合ってみればそんなに悪いものじゃないよね、と思えるような。良い後味。前向きになれた。

 

アラブ、カリビアン、ジャポネ、シノワなど多文化が入り交じるパリらしさも感じられるし、マッチングアプリで出会いを求める今時っぽさもある。力むことなくパリの今の様子を描いてるっていう雰囲気がクラピッシュらしいなーと思った。(”今”といってもコロナ前だけど)

 

ノエルに田舎に帰ったレミが兄に、「空気は汚いけど、パリの方が息ができる」と言ってて、「わかる!!!」となった。都会は孤独でもあるけど、誰でもなくいられるのが心地よいんだよね。わかる。

そして白猫ちゃんをかわいがるレミが可愛すぎた!!

 

ちょいちょいダンスの話が出てくるのだが、さすがクラピッシュ監督、パリ・オペラ座のオレリー・デュポンとマニュエル・ルグリが踊る『ル・パルク 』の解放のパドドゥ(振付プレルジョカージュ)のあの有名な場面が使われていたよ。

 

ところでクラピッシュ監督、どこで魚沼産のお米なんて知ったんだろう。(笑)

 

「パリのどこかで、あなたと」とは、ほんと毎回よく考えるよねーこういう邦題。どうしても”パリ”って入れたいんだよね(笑)。

でもこの作品では、”パリ”は入ってても納得かな。

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歌舞伎座 十二月大歌舞伎『日本振袖始』

十二月大歌舞伎、第四部『日本振袖始(にほんふりそではじめ)大蛇退治』を観てきた。

 

www.kabuki-bito.jp

 

玉三郎さんに代わり菊之助さんの岩長姫実は八岐大蛇。前回は玉三郎さんで観たはず。(記録を検索したら2014年だった)

こういう、美しい姫が実は大蛇でしたみたいな、何それ!っていう設定、とても歌舞伎らしくて好きなのだ。

 

坂東玉三郎 休演のお詫びと代役のお知らせ|歌舞伎美人

 

初演が300年前という歴史ある演目。今回イヤホンガイドありで観たこともあり理解度深まった。

女が恨みを女にぶつける「女vs女」の構図、コミュニティのために若い女性を生贄として差し出す、そして連れていく男どもは生贄女性を置いて逃げ帰る。身分高い男性が姫を救ってめでたしめでたし。

設定やストーリーをよくよく知ると、「は?」ってなることも多い歌舞伎。時代が違うから仕方がないとはいえ、全然気にならないと言えばウソになるし、今後気にしなくなるとも思わない。

例えばシェイクスピア作品が時代と共にどう演出されどう演じられるか、みたいなのも、ちょっと考えてみたくもある。

 

さて今回。急な代役でどのような準備を経てきたのだろうかとか、玉三郎さんからどんなアドバイスをもらっているのだろうとか、そんなことも考えながら観た。姫モードと大蛇モードの落差の大きさであったり、その過程の微妙に変化していく様というのは演者それぞれにだいぶ違いが出るのだろうなと思う。初見のインパクトからすると今夜はそれほどではなかったけど楽しく見た。そして、やっぱあの変身ぷりは凄いな!同じ人が演じてるとは思えない。

 

歌舞伎は1か月通して同じ役を同じ役者さんが演じるので、最初の1週間を菊之助さん、その後を玉三郎さんと、同月に別キャストで観られるという珍しい機会。事情が事情なので喜べないけど、ぜひ後半も観に行きたいな。

 

歌舞伎座は引き続き一席空けてチケット販売してるので全部売れても客席半分なんだけど、半分でも売り切れるには到底至っていないため、開演前の客席がシーーーンと静かでね…。なんか、あの、開演前のざわざわした感じが懐かしい。大向こうもないし。

 

間隔空いてるし喋らないし、黙って舞台観て帰る分には危険は感じない。行き帰りの電車が混んでると困るかな。昼間の時間帯はもうちょっと埋まってるのかもしれないけど、今夜はなんかさみしかったなー。

筋書き復活してたので買いました。(以前よりだいぶ薄い)イヤホンガイドも保証金なしで貸してくれる。

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マキシム・パスカル来日 読売日本交響楽団演奏会

2017年のパリ・オペラ座バレエ団来日公演でものすごい存在感を放っていた若き指揮者マキシム・パスカルが来ると知って、公演が実現するならぜひ行きたいと思っていたのだ。

 

読売日本交響楽団 演奏会 東京芸術劇場

 

フランス指揮界期待のトップランナー、マキシム・パスカル東京芸術劇場開館30周年記念公演で読響に初登場。話題のピアニスト、反田恭平とともに開館30周年を祝う!


2020年12月04日 (金)19:00 開演

望月京/むすび
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/海
ラヴェル/ラ・ヴァルス

指揮:マキシム・パスカル
ピアノ:反田恭平
管弦楽読売日本交響楽団

 

現在海外から日本への入国者には14日間の隔離が求められているため、たとえ1日限りの公演だとしてもその制約がアーティストにも適用される。(ウィーンフィル等の例外を除く)

平常時なら、世界中を飛び回ってる指揮者を14日間もホテルに缶詰めだなんてまずできないだろうけど、今ヨーロッパはほとんど公演ないもんね…。マキシム・パスカルも14日間の隔離ののち、ついにコンサートホールの指揮台に立ったのだ。それだけですでに感動してしまいそう。

 

指揮者からこれほど目が離せないオーケストラの演奏というのも、なかなかないのではないか。

もともと私は身体表現が好きなので、指揮者にしても演奏家にしても、時にはその様子そのものが奏でる音以上に表現に見える。

 

指揮台のマキシムは大きな鳥のようであったり、うねりのようであったり、とにかく彼自身が音楽そのものなのだとごく自然に思える。発している音楽の中心にマキシムがいて、音楽のドームがあるみたい。そんな風に見えたんだよまじで。(うまく言えない)

 

腕が長い。手が雄弁。もしかしてマキシム、ダンサーなのでは?(笑)

マキシム用にひとまわり広い指揮台を用意したらどうだろう。(半分本気)

 

まるで振付家がオーケストラメンバーそれぞれに振付してるみたいだったなー。視線くぎづけ。ネガティブな点をあえて挙げるなら、脳の活動が視覚に重点配分されるので音楽のみを味わえるかというとNon。しかし身体表現も含めて音楽なのだ。あ、あと、日本の演奏家って一般的に身体の動きが少なめなので、マキシムの身体表現にもっと感化されてもいいのかも。(笑)

 

ホテルに缶詰中のマキシムにインタビューしたこちらの記事を事前に読んでいたので、

業界人突撃インタビュー第11弾 マキシム・パスカル氏(指揮者)

本番の譜面台に載ってる楽譜を何度かオペラグラスで覗いてみたんだけど、確かにきれいだった!そしてLa Merの楽譜にはピンクの付箋が何枚も貼られていた!

今後、日本のファンから付箋のプレゼントが増えるのではないだろうか。(ほんとになりそう!)

 

1曲目の「むすび」の作曲家、望月京さんが客席にいらしてて演奏後マキシムも舞台上から拍手を送っていた。響きは和っぽいのにジャズっぽくなったぞ、と思ったら祭囃子?みたいな、そのフシギワールドをマキシムが泳いでいるかのようだった。

 

ラヴェル左手のためのピアノ協奏曲の反田さんのピアノ、左手のみとはとても思えない多彩な色どりだった。落ち着いて見えるけど若いんだよね反田さん。アンコールも聞きごたえあった。

 

ドビュッシー『海』とラヴェル『ラ・ヴァルス』はマキシムの指揮っぷりを堪能できて満足。パリオペの時もそうだけど、フランス音楽はとても合うよね。フランス人なので当たり前と言われてしまうかもしれないけど、国籍で決まるものじゃないと思うしね。マキシムの指揮のスタイル、ラヴェルドビュッシーにある華やかさや新しさやうねりみたいなのがいい。

 

脳への刺激をいっぱい受けてきたので今夜はなかなか眠れなそう。

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ミッドナイトスワン

事前情報でちょっと警戒してたのだけど、思っていたよりはよかった『ミッドナイトスワン』。しかし、モヤモヤは残る。

 

映画『ミッドナイトスワン』公式サイト

 

ステレオタイプに見えてモヤモヤする。そして、人が連帯して生きていくときに必要なのは「母性」ではないだろ、とも思う。

 

トランスジェンダーの凪沙の抱える苦悩を他者が簡単に想像できるとは言えない。でも映画で描くときに、そのキャラクターがどう生きるか、どう終わるかは、それ自体がメッセージになる。

美しい景色と人生のラストを”感動”に利用してるのかもしれないよなと。「かわいそうだったね」と。だってあの先も元気に生きて行ったってよかったし、そうであれば今、現実に生き辛さを感じている観客へのencourageにもなる。しかしそうはしなかったところに監督の”趣味”がある気がする。

 

とまあ穿った見方をしてしまったかな。

あと、邦画ではキャラクターの心の動きや内心感じたことをセリフとして言わせてしまうことが多いと思う。そこは役者にも観客にも、もっと信頼を置いてもよいのではないか。言葉で言わないと伝わらないわけじゃないので。というか、余計なこと言われると冷める。

 

作中の一果のバレエ上達ぶりが物凄いスピードなんだが(笑)、一果役の服部樹咲さんこれからもバレエ続けていくんでしょうね。楽しみですね。

『星の王子さま ーサン=テグジュペリからの手紙ー』

KAATにて『星の王子さまサン=テグジュペリからの手紙ー』を観た。KAATに行くのいつぶりだろう。たぶんNoismを観たのが最後だ。あれはいつだったんだろう。

 

星の王子さま ーサン=テグジュペリからの手紙ー |KAAT 神奈川芸術劇場

2020年11月11日(水)~2020年11月15日(日)

演出・振付・出演:森山開次
美術:日比野克彦
衣裳:ひびのこづえ
音楽:阿部海太郎

 

どんな作品なのか、ベースが「星の王子さま」なので、子供が楽しめるように作られてるのか、大人が観ても楽しいのか、そのあたりが事前にはよくわからなかったのでチケットを買う際にはちょっと悩んだのだけど、最終的には小㞍健太さん、酒井はなさんが出るのが決め手になった。

 

美術や衣装のおかげかまるで動く立体的な絵本のように見えたりする。遠目の席だったんだけど小尻さんはシルエットだけですぐ判別可能。なんだろうな、あの、掴む空間が広い感じというか、ほんと大きく見えるし止まっても動いても身体の見せ方が好みなのだ。

体調のせいもあってちょっとぼーっとしてたところに真っ赤な薔薇(酒井はなさん)が現れて目が覚めた。バレエダンサーの強い脚やっぱかっこいいなー。月並みな言い方だけどオーラが違う。

そして演出・振付の森山さんは踊るとまるで教祖さまみたいなカリスマ性。(例えが(笑))

 

プロばかりの舞台上でひときわ輝く人というのは何が違うんだろうな。つい目で追ってしまうような吸引力。

 

ミュージシャンが舞台上で演奏していたりするのだけど、これがまたすごいのよ2人とも。(佐藤公哉さん、中村大史さん)それぞれ次々いろんな楽器を演奏する。(声もあり)ダンスにちょっと集中力切れるとお二人の演奏見てた。多才!カッコイイ!やはり音楽も生はいいよね。

 

 

全体としてよい作品だと思うもののダンスの面から見ると物足りなさもあって、その理由が踊りの総量なのか振付なのか、その両方なのか。”物語”を語るためには、そうなるのかな?こういった系統の作品を私が見慣れてないからかな?踊りと音楽に"声"”言葉”が入る作品があまり好みでないというのはあるかもしれないな。

 

まあ好みと期待値は観客ひとりひとり違うと思うので、私にはちょっと何かが足りなかった。次は踊りまくる小尻さんがみたいなーなどと思いながら帰ってきた。でもやっぱり生の舞台に足を運ぶというのは、日常に必要な要素だとあらためて思う。

 

今、NDTとかRosasとか、観たい。すごく観たい。

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Papicha(パピチャ 未来へのランウェイ)

Papicha(パピチャ)とはアルジェリアスラングで「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」のことなんだそうだ。

 

映画『パピチャ 未来へのランウェイ』公式サイト

 

1990年代のアルジェリアが舞台。

ファッションデザイナーを夢見る女子学生ネジュマが生きる内戦下のアルジェ。

映画を観た後に確認したのだけど、1991年から10年間、アルジェリア政府軍とイスラム主義の反政府軍による内戦があり、その社会背景を生きる”パピチャ”たちのストーリー。

 

自分の手の中にあった自由、大好きな人、大好きなものが奪われていく日々というのは、一体どれほど苦しいことだろう。それも理不尽に。

 

”信仰”を盾に女性の自由を奪おうとする世の中の空気がネジュマたちを襲ってくる。”信仰”に従って”正しく”生きていない女性への嫌がらせ。迫る圧力。ヒジャブを着ていない女性たちが襲撃され、殺される。一見理解があるように見える男性であっても、実は根本のところがわかっていない、その絶望感。

 

これね、見てて本当に苦しい。決して無関係ではないからね、私たち。こういった意識・無意識の圧力からフリーではないから。日本においては特定の宗教によるものではないけれど、”伝統””愛国”などと振りかざして他者を抑圧しようとする人、いるでしょう現代日本にも。

 

また、大学の授業中の教室に「外国語を使うな!アラビア語を使え!」と乗り込んでくる場面もある。(授業はフランス語。作品内もほとんどフランス語)

これもまた、他人事ではないなと考えさせられる。

 

自分が正しいと思う信仰や正義で、他者を抑圧する暴力性。自由や選択肢を奪う権利など他人にはない。

 

大小さまざまに絶望的な状況の中でも女性たちは連帯し、思いやり、助け合う。それがまた、温かい気持ちになると同時に望むか望まないかに関わらずそうならざるを得ないのかもしれないという思いもよぎり、同時に辛い。

 

映像がわりと揺れ系なので目が疲れた。全編アルジェリア撮影なんだって。貴重だよね。

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スワンレイク・アフタヌーンティー

ちょっとタイトルに騙された感があるんだけど(笑)、コンラッド東京アフタヌーンティー

 

conrad-tokyo.hiltonjapan.co.jp

 

シンガポールではわりと身近な(気がする)アフタヌーンティー/ハイティーだけど、東京にいるとあまり行かない…んだけど、実は先月はパークハイアットアフタヌーンティーしてきたのだ。あそこは何度目でも満足度高い。

 

が、今回のはどうかなー。まずスコーンがちょっと微妙で、四角くて冷たくて小さめだしジャムとクリームも少量だし、さらにお茶がポットじゃない!オーダーするとカップに注がれて出てくるの。

この方式はアフタヌーンティー/ハイティーでは初めてだぞ。。最初に出てくるオリジナルのお茶美味しかったけどね。その後はリストから好きな飲み物を選ぶ。飲み物以外は追加オーダーできない。

食べ物はあれだけ種類があれば好きなのもそうでもないのもある。(けどやっぱりパークハイアットの方が好きかな…なんて)

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どうでしょう、スワンレイクっぽいですか?(笑)

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まあ今回はスワンに免じて、ということで。

 

 

 

ちなみにこちらパークハイアットの3段トレー。スコーンも美味しかったなー。

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Merci, World Ballet Day 2020

今年も無事開催されたWorld Ballet Day.

ありがたいことに多くのカンパニーが参加していて、全部見られたわけではもちろんないのだけどバレエ界のみんなの近況を垣間見ることができた。コロナ禍で参加するのは大変だろうにと思ってたけど、実は彼らこそがWBDを必要としていたのかもしれないな、と感じた。

 

クラスやリハーサルでマスクをしていたりしていなかったり、それぞれの国によっても状況が違う。でも自宅でオンラインレッスンしていたあの頃に比べれば、ねえ。

 

新国立劇場は去年までよりも格段に内容がよくなっていた!これも都さん効果なのかしら。ドン・キホーテの通しリハでもみんなマスクしていて、あれでGPDDなんて辛そうだ。ダンサーさんたち、律している。11/2 12時まで公開。

新国立劇場バレエ団 World Ballet Day 2020 Live

 

マニアックなところでSingapore Dance Theatreのクラス。

Singapore Dance Theatre - World Ballet Day Live 2020 

マスクしてない。シンガポール、規制厳しいはずなのに。とはいえ最近のシンガポールは市中感染はほぼゼロなのでね。

 

 

そして一番の、断トツのお楽しみ(個人の基準です)、パリオペラ座。

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12月に予定されている公演『ラ・バヤデール』のリハーサル(収録)。

二幕のPas d'Action, 三幕のLes Ombre, Pas de troisに続き、アマンディーヌとユーゴきたーー!!!となった。(興奮しすぎ)

 

いくつものカンパニーのクラスやリハを見てきてついにきたパリオペエトワール。別世界だった……私が観たいのはこれなのだ(涙)。おおげさでなく、美しさに泣くというやつ。

 

アマンディーヌとユーゴといえば3月の来日公演での『ジゼル』。あの時はアマンディーヌのジゼルに泣いた泣いた。12月の公演が実現されれば、『ラ・バヤデール』でも間違いなく素晴らしい舞台を見せてくれるんだろうな。パリまで飛んで行きたいーーーーとなったリハ映像。(行けない)

 

生で観ることができないにしても、ダンサーの皆さんが踊れているなら、それでいいよ。エトワールだとしてもダンサー人生は短い。ダンサーとしての充実期を自宅レッスンで終えてほしくはないもんね。

 

ロイヤル

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ボリショイ

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オーストラリア

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マリインスキー(クラス)

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シュツットガルト(リハ)

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リヨン(クラス)

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きりがないのでこの辺で。