Papicha(パピチャ)とはアルジェリアのスラングで「愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性」のことなんだそうだ。
1990年代のアルジェリアが舞台。
ファッションデザイナーを夢見る女子学生ネジュマが生きる内戦下のアルジェ。
映画を観た後に確認したのだけど、1991年から10年間、アルジェリア政府軍とイスラム主義の反政府軍による内戦があり、その社会背景を生きる”パピチャ”たちのストーリー。
自分の手の中にあった自由、大好きな人、大好きなものが奪われていく日々というのは、一体どれほど苦しいことだろう。それも理不尽に。
”信仰”を盾に女性の自由を奪おうとする世の中の空気がネジュマたちを襲ってくる。”信仰”に従って”正しく”生きていない女性への嫌がらせ。迫る圧力。ヒジャブを着ていない女性たちが襲撃され、殺される。一見理解があるように見える男性であっても、実は根本のところがわかっていない、その絶望感。
これね、見てて本当に苦しい。決して無関係ではないからね、私たち。こういった意識・無意識の圧力からフリーではないから。日本においては特定の宗教によるものではないけれど、”伝統””愛国”などと振りかざして他者を抑圧しようとする人、いるでしょう現代日本にも。
また、大学の授業中の教室に「外国語を使うな!アラビア語を使え!」と乗り込んでくる場面もある。(授業はフランス語。作品内もほとんどフランス語)
これもまた、他人事ではないなと考えさせられる。
自分が正しいと思う信仰や正義で、他者を抑圧する暴力性。自由や選択肢を奪う権利など他人にはない。
大小さまざまに絶望的な状況の中でも女性たちは連帯し、思いやり、助け合う。それがまた、温かい気持ちになると同時に望むか望まないかに関わらずそうならざるを得ないのかもしれないという思いもよぎり、同時に辛い。
映像がわりと揺れ系なので目が疲れた。全編アルジェリア撮影なんだって。貴重だよね。